研究課題/領域番号 |
18K09994
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
布施 泰子 茨城大学, 保健管理センター, 教授 (60647725)
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研究分担者 |
渡辺 慶一郎 東京大学, 学生相談ネットワーク本部, 准教授 (10323586)
丸谷 俊之 東京工業大学, 保健管理センター, 准教授 (20642177)
本田 善一郎 お茶の水女子大学, 保健管理センター, 教授 (70238814)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | うつ病 / 女子大学生 / 要因 / 社会的 |
研究実績の概要 |
(1)症例の収集と分析 東京大学、東京工業大学、お茶の水女子大学、茨城大学において、保健管理センターを利用したうつ病の女子大学生の症例を収集した。調査は各大学の倫理審査を経て行った。今回の調査のために直接学生と面談して情報を得る方法は取らず、情報収拾はカルテを参照して行い、必要な情報をデータシートに集約した。うつ病の診断には疾病及び関連保健問題の国際統計分類第10版(ICD-10)と精神疾患の診断・統計マニュアル(DSM-5)を用い、ICD-10ではF32(うつ病エピソード)とF33(反復性うつ病生障害)、DSM-5では296.21~296.30(うつ病)に該当する症例を対象とした。病歴から各要因が直接の発症要因であったのか否かを特定することは困難であり、発症に関与した可能性のある要因は全て抽出することとした。この方針に従い、発症直前に起こったライフイベント等だけでなく、性格傾向や生育歴も調査の対象とした。計50の症例を集め、それらの発症に関わる社会的要因を抽出した。大学入学以前の要因としては、両親の養育態度の著しい偏り、両親の離婚、家庭内暴力など、家庭における要因が多く抽出された。大学入学後の要因としては、環境の変化(主として学部1年生)、就職活動における困難、研究環境に関連する困難、ハラスメントや犯罪の被害、諸事情による多忙などが抽出された。 (2)質問紙調査の準備 2019年度に調査予定の質問紙を作成した。質問項目は、(1)の分析結果とうつ病に関する先行研究を元に作成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究代表者と研究分担者の所属するそれぞれの4つの大学から、うつ病の女子学生の症例を収集したが、予定の症例数を集めることができた。また、これを元に質問紙を作成した。
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今後の研究の推進方策 |
(1)質問紙調査 2019年度に1回目の質問紙調査を実施する。当初は複数の大学に呼びかけて一斉に行う予定であったが、まず茨城大学において予備的に実施することとした。2020年度には、当初の計画どおり追跡調査を行う予定である。 (2)学会発表 症例の収集と分析によって得られた結果をまとめ、2019年度に学会発表を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
計画当初は打ち合わせのための旅費を計上していたが、学会等に合わせて打ち合わせを行い、メールで補完することによって費用を抑えることができた。また、2018年度の事務は、事務補助を雇用せずに、研究代表者が行なうことができたために人件費が発生しなかった。これらのために次年度使用額が生じた。2019度分と合わせて、学会発表の旅費と質問紙調査のとりまとめの人件費に充て、研究を継続する予定である。
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