研究課題/領域番号 |
18K09999
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
後藤 由和 金沢大学, 医学系, 准教授 (60282167)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 院外心停止 / 蘇生中止 / 病院前救護 / 医療社会学 / 疫学 / 転帰 |
研究実績の概要 |
本年度は、「来院時蘇生中止基準」と「現場蘇生中止基準」の外部検証および院外心停止例の転帰に関わる事項の解析を行った。「来院時蘇生中止基準」(Crit Care 2013)の外部検証の結果、死亡予測に対して特異度93.2%・陽性的中率99.5%であった(AHA/ReSSで発表)。前年度までに開発した「現場蘇生中止基準」の外部検証結果(死亡に対する感度99.5%・陽性的中率99.8%)を欧州不整脈学会と欧州救急医学会で発表した。転帰に関しては、以下の項目について検討した。1.心室細動心停止症例の3時相時間感受性モデルにおける境界時間について:時間境界は、電気相<7分・循環相7-10分・代謝相>10分であることを示した(Resuscitaion Plus論文、欧州不整脈学会・欧州救急医学会発表)。2.本邦の目撃のある小児院外心停止例は、2005年から2017年までの13年間の転帰傾向について:1か月後の生存率・神経学的転帰良好率共に改善傾向にあった(Resuscitaion Plus論文、欧州不整脈学会・欧州救急医学会)。3.胸骨圧迫のみ法と標準蘇生法の比較について:胸骨圧迫のみ蘇生法は標準的蘇生法と同等の初期ショック心電図割合であった(欧州心臓病学会発表)。4.ショック初期心電図例の心停止時間推定について:目撃のある心停止例で救命処置が行われなければ、累積初期ショック心電図患者が99%を超える時間は17分であった(欧州不整脈学会)。5.口頭指導による胸骨圧迫のみ法と標準蘇生法の比較について:初期心電図がショック心電図である割合は両群間で差は無かった(欧州集中治療医学会)。6.小児院外心停止例の蘇生現場における転帰予測について:初期心電図が心静止・目撃なし・バイスタンダーによる救命処置なしの3項目すべて満たした場合、死亡予測に対して特異度91.9%・陽性的中率96.5%であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画に沿い、消防庁集計ウツタインデータ(全国院外心停止集計データ)を用いて、各種の解析を実施した。2編の英文論文(オープンアクセス)と国際学会10演題の発表を行ったことから、おおむね順調と判断した。しかし、当初予定していた最新のウツタインデータを用いた「蘇生中止基準」の外部検証ができなかったので、次年次の課題としたい。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度は、これまでに開発した蘇生中止基準に対する最新の集計データ(2018-2019年度分)を用いた外部検証を行いたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
出席予定の国際学会がすべてWeb開催となったことが、学会参加費相当額の次年度使用額が生じた主な理由である。論文作成経費(英文校正代金・論文掲載代金等)の一部に補充する予定である。
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