研究課題/領域番号 |
18K10008
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
田川 まさみ 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (90261916)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | プロフェッショナルアイデンティティ / 評価尺度 / 医学教育 / プロフェッショナリズム |
研究実績の概要 |
医師の専門的職業人としての利他的価値観や内面化された行動規範、社会性、自律性で示されるプロフェッショナル・アイデンティティの獲得 Professional Identity Formation(PIF)は、医学教育・研修の目指すべき目標として注目されている。本研究では医師育成に適応可能なKeganのらせん型発達モデルを基盤と して、プロフェッショナル・アイデンティティを評価する複数の尺度(発達度の評価尺度Developing scale DS、各ステージの資質を評価する尺度Stage- specific attribute scales SASs)を開発し、臨床実習前後の医学生、研修医、若手医師、指導医を対象とした無記名自記式アンケートの調査を用いたクロス・ セクション分析と臨床実習前後の比較を行い、PIFの状況と、PIFに影響する個人および教育環境因子を明らかにすることを目的とする。 2020年度は医学生、研修医、若手医師、指導医を対象に、本研究で開発したDS及びSASsの各スコア、PIFに影響する因子として臨床実習、研修での医師としての対人関係、支援、ロールモデル、重大な経験に関するアンケート項目、指導医の臨床経験年数、ポジション、PIFに関する経験の自由記載を分析し、教育・研修過程におけるPIの変化並びにPIFに関連する因子を解析した。DSスコアは卒業後30年以上増加傾向が認められ、臨床経験年数と有意な関係が示された。PIFに関わる経験として学生から現在に至る臨床経験、ロールモデル等が自由記載で説明されており、DSスコア、高ステージスコアが高い群でより多くの事項が指摘されていた。プロフェッショナル・アイデンティティは長期にわたって種々の経験が積み重ねられるとともに構築されるが、特に診療での経験が重要な役割を果たすことが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
既に計画したデータ収集は終了し、これまでに国際学会での発表、国際学術雑誌に2件論文発表を行なっているが、さらに論文発表を準備している状況である。
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今後の研究の推進方策 |
得られたデータをまとめ論文発表を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
参加を予定していた国際学会がwebでの開催となったため旅費の支出がなくなり、さらに参加費も減額され支出額が抑えられた。インターネットでの業務に対応できるようにアプリケーションを更新したが、論文が年度内に公表に至らず、採択された際の費用は次年度に支出が見込まれることになった。
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