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2018 年度 実施状況報告書

人・動物・環境を包括的に含む薬剤耐性菌による健康影響評価に関する検討

研究課題

研究課題/領域番号 18K10013
研究機関東海大学

研究代表者

古屋 博行  東海大学, 医学部, 准教授 (10276793)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード薬剤耐性菌 / one health / ESBL産生菌
研究実績の概要

平成30年度は、①マクロレベルで院内と市中での耐性菌の拡散について、②動物にある抗菌剤を使用して放出される耐性菌または耐性決定因子に人が曝露される経路として、主に食用動物の食肉等を経由して曝露が起こる確率から人に感染するリスク推定の検討を行った。
(1)ESBL産生菌をモデルとした人への感染リスクの推定:ESBL産生菌は既に市中において拡散しており、E.coliを想定して院内と院外(患者世帯)での広がりについてモデルを検討。現在は、本邦の疫学データが限られているため、欧米における疫学データを基にしたパラメータを使用して推定を行い、欧米の結果の追試にとどまっている。
(2)家禽類における薬剤耐性カンピロバクターの人へ曝露する確率については、鶏肉等におけるCampylobacter jejuni/coliについて食品健康影響評価のためのリスクプロファイル(2018年5月)をもとに推定を検討中。この報告書では薬剤耐性菌も含んだトータルの細菌感染を想定している。本邦でも細菌性の食中毒の原因菌として多く認められており、カンピロバクター腸炎患者から分離された細菌でもキノロン耐性が認められ、市販の鶏肉でもキノロン耐性が認められているが、耐性菌の人への感染との関連は明確でない。そのため人への感染については感度分析を行い、健康影響の寄与を推定する予定。
(3)環境中の耐性菌に関する研究報告最新の文献報告の結果をもとにした動物耐性菌の寄与については、特定の河川で認められる抗生剤と動物に使用している抗生剤使用量との相関を認める報告から動物体内の耐性菌を反映していると考えられる。一方、環境中の耐性菌が抗生物質を使用してない動物にどのように影響するかについては明らかでない。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

(1)本邦における家畜に使用するマクロライド系抗生物質に係る薬剤耐性菌に関する食品健康影響評価が2019年4月に正式な公表予定であるため、それを受けて出来るだけ本邦の現状を反映したパラメーター抽出を行う予定である。そのため、現在は欧米の一部の国における結果の追試にとどまっている。
(2)OECDとEU諸国における耐性菌の疾病負担予測が、2018年末から2019年にかけてOECD等から報告されており、内容の吟味に時間を要した。

今後の研究の推進方策

(1)OECDの最新の報告「Stemming the Superbug Tide: Just A Few Dollars More」を参考に耐性菌による人への健康影響をマクロレベルで推定したい。
(2)ミクロレベルのモデルでは、宿主内、動物間での耐性菌の伝播を推定する報告は認められる。耐性遺伝子の水辺伝播について、進化の代償にもとめられる負荷の大きさを表すfitness costが少ない方向に進化が進むことがわかっており、プラスミッドによる耐性遺伝子の伝播が複雑であるため、細菌種を超えたモデル化が困難であるが、妥当な仮定を検索している。

次年度使用額が生じた理由

(1)当初、北海道内で予定していた獣医学系研究者との研究打ち合わせが、北海道地震とその後の停電等の影響により中止となったため、旅費及び謝礼の使用が少なくなった。また、パラメータ抽出については、OECDの耐性菌に関する報告「Stemming the Superbug Tide: Just A Few Dollars More」におけるデータも参考に致したく、その発表が2018年11月であったため、資料からのデータ整理の作業が遅れ謝礼が発生していない。
(2)繰越金については、2019年度に研究協力者との打ち合わせ旅費、謝礼に使用予定である。

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公開日: 2019-12-27  

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