研究実績の概要 |
令和5年度は、下記項目について検討を行った。 (1)COVID-19のエアロゾル感染の特徴に関する検討 ①比較的長距離の風下空気感染例としてアイスホッケーの試合中にアイスリンクアリーナで発生したアウトブレイク事例から観客席における換気量を推定した結果、0.19ACHと一時間に一回の換気にも至っていなかった可能性が示唆された。また、エアロゾルを含む冷気相が沈滞し易い傾向による影響も考えられた。②新型コロナ感染を受けた空気感染の定義の見直し:感染性のある粒子サイズの大きさで空気感染とエアロゾル感染に分けていたが、WHOの室内エアロゾル感染会議やCDCガイドラインの改定により、新しい空気感染の定義が提案されており、それらの比較検討を行った。 (2)COVID-19流行とAMR(薬剤耐性菌)との関連に関する文献的考察 COVID-19感染と細菌との共感染、あるいは共感染を予防するために抗生剤が投与されることによる耐性菌の発生が懸念されている。Kariyawasamら(2022)によるCOVID-19患者における耐性細菌、耐性真菌の共感染率は細菌で24%、真菌で0.3%で、ICUとnon-ICUの耐性菌の共感染率に比較ではICUの方が高い傾向、非欧州が欧州に比べ高い傾向と報告。Langfordらの報告(2023)では、COVID-19流行前(2020年1月前)と流行中(2020年1月以降)のAMRについて比較している報告のシステマティックレビューとメタ解析で、グラム陽性耐性菌でのCOVID-19流行前と流行中の発率生比は0.99(95%CI[0.67, 1.47]), グラム陰性耐性菌では発生比はASPのある/なし比較の場合、なしの場合に1.11(95%CI[1.03, 1.20])とCOVID-19流行中の方が高い発生率を報告している。COVID流行中もASP活動持続が重要と考えられた
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