2020年度はCOVID-19の影響で研究実施上の困難が生じた。2020年度に予定していたプログラム全体の実証実験は、計画を変更しユニットごとに実施した。一方、コロナ禍における医学生のメンタルヘルスの状況を把握・対応するための調査を新たに加えた。 このような状況の中、ウェブ開催された第10回のInternational Congress of Coaching Psychology のInvited speaker に指名され、"Utilising mindfulness and strength to enhance resilience among medical students" と題する講演を行う機会を得た。研究の次の段階への展開を広く世界に紹介することができたのは大きな成果であった。このほかコーチングを活用した医療系学生に対する授業の効果に関する調査では、日本教育心理学会において、「コーチングを活かした授業がレジリエンスに与える効果」と題して、授業終了後の1年後の効果の持続性の測定結果を発表した。コーチングのレジリエンスに対する効果が確認されるとともに、新たな困難を克服する力を養う上での課題を明らかにすることができた。コーチングの授業効果については、遠隔授業で実施した効果測定の結果を2021年度に発表予定である。 マインドフルネスの効果については、レジリエンスを高める効果があることを2020年の医学教育学会において発表した。自習用教材動画を用いた遠隔での実践の効果を心理・生理両面から測定し、その結果報告を2021年度に予定している。 COVID-19の影響により、統合的な実証実験は実施できなかったが、プログラムそのものは完成し、遠隔で実施したプログラムの効果測定など、この状況下ならではのデータを取ることができたため、研究目的はほぼ達成できたと考えている。
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