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2019 年度 実施状況報告書

ラドンによる肺がんリスク高潜在地域を調査するための可搬型測定器の開発と応用

研究課題

研究課題/領域番号 18K10023
研究機関弘前大学

研究代表者

細田 正洋  弘前大学, 保健学研究科, 講師 (30457832)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワードラドン / トロン / 散逸率 / 放射線計測 / ZnS(Ag)シンチレータ / 光電子増倍管 / 温度補正係数 / 蓄積法
研究実績の概要

ラドン・トロンの高潜在地域の特定のために、可搬性に優れ、いかなる測定環境にも対応可能かつ短時間で散逸率の評価ができる測定を開発する。本年度は、昨年度に地元企業の協力を得て製作した可搬型測定器の特性を室内実験によって評価した。
製作した測定器は野外観測で用いるため、計数値の温度特性を評価するため恒温槽内に測定器を設置した。室内の温度を5, 10, 20, 30, 40度になるように調整し、アメリシウム-241標準線源を用いて計数値を測定した。その際、線源と検出器との距離によって幾何学的効率が変わるため、アクリル板を用いて治具を作成したアメリシウム-241標準線源の放射能と昨年度評価した計数効率から計数値が10,000カウントを超える測定時間を推定し、測定時間を1分間とし、それぞれの温度で30回の測定を行った。得られた結果から、計数値に対する温度補正係数を得た。
計数値から散逸率への換算係数の評価を室内実験によって評価した。実験に用いる土壌には、採取した花崗岩風化土壌を用いた。トロンの半減期が短いことから散逸率に影響する土壌の至適厚さを理論計算と実験で評価した。その結果、5cm以上であれば地表面からのトロン濃度は充分に飽和するため、試料容器の大きさを考慮して8cm深とした。製作した測定器を実験土壌に設置し、30秒間隔で30分間の測定を実施した。さらに、既存のラドン・トロンモニタと蓄積容器を用いて30分間隔で3時間の測定を行った。得られた実測結果を用いて計数値からトロン散逸率への換算係数を評価した。さらに、製作した測定器で得られる計数値の変化について理論計算を行い、トロン散逸率を推定した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度の計画では、計数値からラドン・トロン散逸率の換算係数を評価した。既存のモニタを用いて実測によって得られたトロン散逸率と製作した測定器で得られた計数値の変化を用いた理論計算によって評価した散逸率が異なったため、その要因について検討することを優先したため計画を若干修正した。
ラドン・トロン散逸率の基準測定器には既存のラドン・トロンモニタを用いている。このモニタによってラドン・トロン散逸率の評価をするためには、ラドン・トロンガスの蓄積容器とモニタとをポンプを介して接続し、連続的に蓄積容器内のラドン・トロン濃度を測定する。その際、土壌試料から放出するトロン濃度はポンプの流量に大きく依存することが明らかになった。その要因として、1)サンプリング流量の増加による土壌試料表面からのトロンの強制排出、2)既存のラドン・トロンモニタのサンプリング流量依存性の2点を考えた。そこで、これらの影響を評価するための実験を行った。このように計画の変更は行ったものの、新たな知見を得ることができ、次年度の研究につなげることができた。

今後の研究の推進方策

次年度は、優先事項として本学に設置されているラドン ・トロン較正場を用いて、本研究で基準器としているラドン・トロンモニタで得られるラドン・トロン濃度に対するサンプリング流量の影響について検討を行う。もし、サンプリング流量依存が認められた場合、本年度に取得したデータの補正を行う等の適切な処理を行い、再度換算係数の検討を行う。その後、国内において本年度実施予定であった野外観測によってトロンのみでなくラドン散逸率への換算係数の評価を実施する。最終年度であることから、当初の計画にあったインドネシアの高自然放射線地域での調査に応用するように計画的に進めていく予定である。

次年度使用額が生じた理由

本年中に国内各所において野外調査を実施する予定であったが、研究室内において追加実験を行う必要が生じたため、青森県外での野外調査を実施しなかった。室内実験で必要な物品については概ね研究室内にあるもので対応できた。そこで、本年度実施予定の野外調査を次年度に実施するため、次年度使用額が生じた。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Japanese population dose from natural radiation2020

    • 著者名/発表者名
      Yasutaka Omori, Masahiro Hosoda, Fumiaki Takahashi, Tetsuya Sanada, Shigekazu Hirao, Koji Ono, Masahide Furukawa
    • 雑誌名

      Journal of Radiological Protection

      巻: - ページ: -

    • DOI

      https://doi.org/10.1088/1361-6498/ab73b1

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] ラドンに対する新しい線量換算係数の影響に関する技術会合の参加報告2019

    • 著者名/発表者名
      細田正洋
    • 雑誌名

      保健物理

      巻: 54 ページ: 226-230

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] インドネシア・マムジュにおけるラドンの高濃度化の要因調査2019

    • 著者名/発表者名
      細田正洋, Eka Djatnika Nugraha, Miki Arian Saputra, 赤田尚史, 山田椋平, 佐々木道也, 玉熊佑紀, 鈴木崇仁, 岩岡和輝, 古川雅英, 真田哲也, 山口平, 吉永信治, Abarrul Ikram, 柏倉幾郎, 床次眞司
    • 学会等名
      日本保健物理学会第52回研究発表会
  • [学会発表] Validation of Can Technique to Measure the Exhalation Rates of Radon and Thoron from Soil Sample2019

    • 著者名/発表者名
      Miki Arian Saputra, Yuki Tamakuma, Masahiro Hosoda, Shinji Tokonami
    • 学会等名
      日本保健物理学会第52回研究発表会
  • [学会発表] パッシブ式静電捕集型ラドンモニタに対するトロンの感度評価2019

    • 著者名/発表者名
      根上颯珠, 玉熊佑紀, 細田正洋, 床次眞司
    • 学会等名
      日本保健物理学会第52回研究発表会
  • [学会発表] Exposure and control due to indoor radon in dwellings and workplaces in Japan2019

    • 著者名/発表者名
      Masahiro Hosoda, Haruyuki Ogino
    • 学会等名
      Technical Meeting on the Implications of the New Dose Conversion Factors for Radon,
    • 国際学会
  • [図書] 知の散歩シリーズ2 福島に学ぶ 放射線総合科学の展開を目指して(第一章 被ばくを調べるための放射線計測技術)2020

    • 著者名/発表者名
      細田正洋, 床次眞司
    • 総ページ数
      170
    • 出版者
      弘前大学出版会
    • ISBN
      978-4-907192-85-3

URL: 

公開日: 2021-01-27  

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