研究課題「RBファミリー増強による新規がん予防法の開発」として、2019年度には大規模な天然化合物ライブラリーに対してRBを欠失しているヒトがん細胞を用いたcell-basedスクリーニングを実施し、その結果、複数の天然化合物が、RB欠失ヒトがん細胞の増殖を抑制することを見出していた。2020年度は、RBは細胞周期のG1期停止に大きく寄与することから、上記のcell-basedスクリーニングで得られた化合物より、RB非依存的にG1期停止を起こし、増殖を抑制する化合物を選定した。 その結果、5種類のヒット化合物が見いだされ、そのうち2種類は認可された医薬品であった。 また、RBおよびRBファミリーの欠失を有するマウス線維芽細胞株を用いることで、それらすべてのヒット化合物のRB非依存的なG1期停止能におけるRBファミリーの寄与を確認した。 2021年度は、ヒット化合物であった2種類の認可された医薬品化合物に対し、それぞれ同様の薬理活性を持つ構造の異なる医薬品化合物のRB非依存的なG1期停止能を評価したところ、同じくRB非依存的なG1期停止能を有することを見出した。 したがって、2種類の認可された医薬品化合物のそれぞれの既知の薬理活性が、RB非依存的なG1期停止能を起こすことが示唆された。
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