研究課題/領域番号 |
18K10030
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
西田 智 帝京大学, 医学部, 講師 (10409386)
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研究分担者 |
斧 康雄 帝京大学, 医学部, 教授 (10177272)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 多剤耐性菌 / ハイパービルレンス / アシネトバクター / 肺炎桿菌 / 病原性 / WGS |
研究実績の概要 |
近年、アシネトバクターや肺炎桿菌は多剤耐性の獲得と院内感染を引き起こすことから国内外で社会的な問題となっている。本研究は重症感染症を引き起こす多剤耐性菌のハイパービルレンスに関わる因子を同定して迅速診断や化学療法の新しい標的を発見することを目的とする。 本研究では、臨床分離された薬剤耐性株のハイパービルレンスを決定する因子をゲノムシーケンス解析、遺伝子クローニング、感染実験によって明らかにすることを試みる。解析対象は多剤耐性Acinetobacter baumannii (MDRA)、KPC-2産生多剤耐性肺炎桿菌、NDM-1産生多剤耐性肺炎桿菌、NDM-5産生多剤耐性大腸菌とする。 本年度は多剤耐性Acinetobacter baumannii (MDRA) 3株、KPC-2産生多剤耐性肺炎桿菌 1株、NDM-1産生多剤耐性肺炎桿菌 1株、NDM-5産生多剤耐性大腸菌 1株の全ゲノム解析 (WGS) を行った。また、新たにOXA-48産生多剤耐性大腸菌を分離したので、1株のWGSを行った。また、アウトブレイクを起こしたMDRAの中にハイパービルレンスなものが存在することを感染実験により証明した。海外からの患者の監視培養で分離されたカルバペネマーゼ産生菌の中にもハイパービルレンスであるものを見出した。更に、病原性遺伝子をシャトルベクターへクローニングし、非病原性株へ導入することによって病原性が獲得されるかどうかを感染モデルで確認した。 来年度は、引き続きWGSを行うとともに、病原性因子の機能解析を行う。さらに病原性遺伝子の発現を抑制する薬剤の探索を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、臨床分離された薬剤耐性株のハイパービルレンスを決定する因子をゲノムシーケンス解析、遺伝子クローニング、感染実験によって明らかにすることを試みる。解析対象は多剤耐性Acinetobacter baumannii (MDRA)、KPC-2産生多剤耐性肺炎桿菌、NDM-1産生多剤耐性肺炎桿菌、NDM-5産生多剤耐性大腸菌とする。 本年度は多剤耐性Acinetobacter baumannii (MDRA) 3株、KPC-2産生多剤耐性肺炎桿菌 1株、NDM-1産生多剤耐性肺炎桿菌 1株、NDM-5産生多剤耐性大腸菌 1株の全ゲノム解析 (WGS) を行った。また、新たにOXA-48産生多剤耐性大腸菌を分離したので、1株のWGSを行った。また、アウトブレイクを起こしたMDRAの中にハイパービルレンスなものが存在することを感染実験により証明した。海外からの患者の監視培養で分離されたカルバペネマーゼ産生菌の中にもハイパービルレンスであるものを見出した。更に、病原性遺伝子をシャトルベクターへクローニングし、非病原性株へ導入することによって病原性が獲得されるかどうかを感染モデルで確認した。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は、引き続きWGSを行うとともに、病原性因子の機能解析を行う。さらに病原性遺伝子の発現を抑制する薬剤の探索を行う予定である。ゲノムが解析されている菌株との比較ゲノム解析により分子疫学的な解析と高病原性に関わる遺伝子の推定を行う。これまでの薬剤耐性遺伝子の検出法確立の経験を生かして、リアルタイムPCRやLAMP法による高病原性遺伝子の検出法を確立する。
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次年度使用額が生じた理由 |
多剤耐性高病原性株からショートリード次世代シーケンサーを用いず、ロングリード次世代シーケンサーだけで全ゲノム配列を解析する方法を確立したので計画を変更した。次年度以降はロングリード次世代シーケンサーを用いてゲノム情報を得る。
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