研究課題/領域番号 |
18K10033
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研究機関 | 藤田医科大学 |
研究代表者 |
内藤 久雄 藤田医科大学, 医学部, 講師 (90547556)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | DNAメチル化 / 胆汁酸 / CYP7A1 / 肝線維化 / コレステロール / 高血圧 |
研究実績の概要 |
高脂肪・高コレステロール飼料(HFC)摂取によって肝線維化を伴った非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)を発症するモデル動物(SHRSP5/Dmcr)及び系統元の高血圧自然発症ラット(SHR)、Wistar Kyoto Rat(WKY)との解析により、HFC8週間摂取では高血圧系ラット(SHRSP5/Dmcr、SHR)のみ肝線維化進展を認め、胆汁酸合成酵素CYP7A1蛋白の発現がHFC摂取する以前から高血圧系ラットで高かった。SHRSP5/DmcrのCyp7a1プロモーター領域のDNAメチル化頻度解析では、HFC摂取がCyp7a1プロモーター領域のDNAメチル化頻度を増加させた。この研究では、CYP7A1蛋白発現やDNAメチル化頻度の変化が蛋白間相互作用物質によると仮説を立て、高血圧及びHFC摂取の双方向からNASH発症・進展メカニズムを解明し、その予防に資する知見を得ることを目的とした。 3系統ラットの肝臓からDNAを抽出し、Cyp7a1プロモーター領域のDNAメチル化頻度の測定を次世代シークエンサー(Ion PGM)で解析した。その結果、先行研究のSHRSP5/Dmcrで認められたHFC摂取によるCyp7a1プロモーター領域のDNAメチル化頻度の増加がSHR、WKYにおいても同様に認められた(15-30%の増加)。HFC摂取による影響はSHRSP5/Dmcr、SHR、WKYの順に高い結果となった。コントロール飼料摂取群における系統間解析では、WKYがSHRSP5/DmcrやSHRに比べ、Cyp7a1プロモーター領域のDNAメチル化頻度は低い結果となった(5-10%)。このことから、血圧の差がCyp7a1 DNAメチル化頻度に影響を与えている可能性が考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
3系統ラットの肝臓から抽出したDNAを用いたCyp7a1プロモーター領域のメチル化頻度測定は終了した。この結果から、血圧とHFC摂取がCYP7A1蛋白の発現に影響を与えいることが示唆された。またCYP7A1のmRNA発現、プロモーター領域のメチル化頻度と蛋白発現の間に乖離があり、蛋白間相互作用の影響を解明するためにプロテオミクス解析を行う予定だが、現在測定サンプルの準備中となっている。
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今後の研究の推進方策 |
Cyp7a1プロモーター領域のDNAメチル化頻度解析が終了し、血圧、HFC摂取による影響が示唆されたため、降圧剤の投与や餌の組成(HFCには高脂肪とコレステロールが含まれるため)についての解析が必要と考えられ、追加実験を行う予定である。 また、CYP7A1蛋白発現に影響を与えるものとして蛋白間相互作用物質の可能性も検討する必要がある。その手法としてプロテオミクス解析を行う予定であり、現在サンプル調整中である。
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次年度使用額が生じた理由 |
論文掲載費として使用予定だったが、現在論文修正中であり、年度内に受理されなかったため。
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