研究課題
キャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害剤バロキサビル マルボキシル(S-033188)は、日本国内で開発された新規抗インフルエンザ薬で、2018年2月に世界に先駆けて日本で承認された。一方、バロキサビル マルボキシルの臨床試験において、薬剤感受性が低下した変異ウイルスが検出されたため、耐性ウイルスの発生状況を迅速に把握し、自治体および医療機関に速やかに情報提供することは公衆衛生上極めて重要である。そこで、バロキサビル マルボキシルに対する耐性ウイルスの検出系を構築し、耐性ウイルスの監視体制を確立するのが本研究の目的である。本年度は、バロキサビル マルボキシルに対するインフルエンザウイルスの感受性を測定するために、培養細胞を用いて薬剤存在下あるいは非存在下でウイルスを増殖させて増殖能を比較するCell based assayを開発し、Plaque reduction assay、CPE reduction assayならびにFocus reduction assayの3系統を構築した。また、開発したCell based assayについて、A(H1N1)pdm09ウイルス、A(H3N2)ウイルスおよびB型ウイルスの代表株を用いて検証を行い、検出系としての妥当性を確認した。次に、日本国内で分離された各型・亜型の流行株について、バロキサビル マルボキシルに対する感受性を測定し、統計学的に感受性低下の判断基準となる基準値を算出した。さらに、次世代シーケンス解析を併用することで、国内流行株の中から、バロキサビル マルボキシル耐性変異を持ち、バロキサビル マルボキシルに対する感受性が約50-120倍低下したA(H1N1)pdm09ウイルスおよびA(H3N2)ウイルスを検出した。
2: おおむね順調に進展している
当初の研究計画通りに進捗している。
バロキサビル マルボキシルは、日本に続き、米国および香港でも承認されたため、耐性ウイルスの監視体制について、世界規模で考える必要が出てきた。そこで、世界保健機関(WHO)の専門家グループと協力し、国内外の耐性ウイルス検出状況について情報共有し、監視体制の強化につなげる。
年度末納品等にかかる支払いが平成31年4月1日以降となったため。当該支出分については次年度の実支出額に計上予定であるが、平成30年度分についてはほぼ使用済みである。
すべて 2019 2018 その他
すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件) 備考 (2件)
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