研究課題
キャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害剤バロキサビル マルボキシルは、日本国内で開発された抗インフルエンザ薬で、世界に先駆けて日本で承認された。一方、バロキサビル マルボキシルの臨床試験において、薬剤感受性が低下した耐性変異ウイルスが検出されたため、耐性変異ウイルスの発生状況を迅速に把握し、自治体および医療機関に速やかに情報提供することは公衆衛生上極めて重要である。そこで、バロキサビル マルボキシルに対する耐性変異ウイルスの検出系を構築し、耐性変異ウイルスの監視体制を確立するのが本研究の目的である。本年度は、新型コロナウイルス感染症の流行により、季節性インフルエンザの流行は例年と比べて極めて限定的であり、患者報告数も非常に少なかったが、高病原性鳥インフルエンザの発生が国内外で多数報告され、世界的に新型インフルエンザの発生リスクが上昇した。しかしながら、日本国内で分離された鳥インフルエンザウイルスについて、バロキサビル マルボキシルの感受性を調べた報告はなかったため、本研究で開発したFocus reduction assayを鳥インフルエンザウイルスの解析に応用することに成功した。また、世界保健機関(WHO)の専門家グループと協力し、世界規模でのバロキサビル マルボキシル耐性ウイルスの監視を継続して実施した。
3: やや遅れている
新型コロナウイルス感染症の流行拡大に伴い、日本国内におけるインフルエンザウイルスの検出報告が激減しており、十分な情報取集ができなかったため。
バロキサビル マルボキシルの承認国は年々増加しており、バロキサビル マルボキシル耐性ウイルスの監視体制については、世界規模で考える必要がある。海外では新型コロナウイルス感染症対策の緩和に伴ってインフルエンザウイルスの検出報告が増えており、日本国内においても今冬の再流行が懸念されている。そこで、世界保健機関(WHO)の専門家グループとも協力し、国内外のインフルエンザウイルス検出状況について迅速に情報収集し、耐性ウイルス監視体制の強化を行う。
年度末納品等にかかる支払いが、令和4年4月1日以降となったため。当該支出分については次年度の実支出額に計上予定であるが、令和3年度分についてはほぼ使用済みである。
すべて 2021 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 1件) 図書 (2件) 備考 (2件)
Japanese Journal of Infectious Diseases
巻: - ページ: -
10.7883/yoken.JJID.2021.751
Antiviral Research
巻: 194 ページ: 105158~105158
10.1016/j.antiviral.2021.105158
https://www.niid.go.jp/niid/ja/influ-resist.html
https://www.niid.go.jp/niid/en/influ-resist-e.html