【背景】食事由来の炎症プロセスの制御ががんの発症リスクと関連していることが示されてきました。我々は、複数の栄養素摂取量を用いて炎症性に関する食事の質を総合的に評価する指標のひとつであるdietary inflammatory index (DII)を測定し、食事由来の炎症と頭頚部、食道がんリスクとの関連を症例対照研究にて評価した。 【方法】対象者は、愛知県がんセンターを受診した、1028名の頭頚部・食道がん患者と性、年齢を適合させた3081名の非がん患者である。DIIスコアは、自記式食物摂取頻度調査票から推定した主要栄養素および微量栄養素量に基づき算出し、さらにコントロール群の分布に基き四分位数に分類した。DIIの四分位を暴露、頭頚部食道がんをアウトカムとし、条件付きロジスティック回帰モデルを用い交絡要因で調整したオッズ比と95%信頼区間(CI)を推定し、関連を評価した。 【結果】DII高値と頭頚部・食道がんリスクとの間に正の関連が観察された。頭頚部・食道がん全体では、DIIの最低値群に比べ最高値群のオッズ比は、1.73(95%CI: 1.37-2.20)、頭頚部がんでは 1.92 (95% CI: 1.42-2.59)、食道がんでは1.71 (95% CI: 1.54-1.90)であった。さらに詳細に部位を分けたところ、上咽頭がんおよび下咽頭がんリスクは大幅に上昇しており、オッズ比はそれぞれ4.05 (95% CI: 1.24-13.25) 、4.99 (95% CI: 1.14-21.79)であった。 【結論】頭頚部・食道がんにおいて、炎症性がより強い食事はリスク上昇に関連することが示された。喉頭を除く 全ての部位において、DIIのスコアが上昇するのに伴い、がんリスクが上昇していた。がんの発症に持続感染との関連が知られている部位において、リスク上昇が顕著だった。
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