研究実績の概要 |
2020年度(令和2年度)は新型コロナウイルス以外の感染症の患者発生が少なく、パレコウイルス感染症が疑われる患者検体191名(436検体)についてのスクリーニング検査では、細胞培養法、遺伝子検出法ともに陽性例はなかった。細胞培養法による増殖能検査では腸管系細胞(TH29:結腸癌細胞)や神経系細胞(SH-SY-5Y:ヒト神経芽細胞腫)で神経症状の有無による患者由来のPeV-3株に増殖能力に差があることが報告されている。当所が保有している神経病原性の有無によるパレコウイルス分離株を由来の異なる各種培養細胞(LCC-MK2:アカゲザル腎細胞,BGMK:ミドリザル腎細胞,CaCo2:結腸直腸癌細胞)に接種し、経時的にウイルス増殖能をリアルタイムPCR法にて定量するための実験を行った。19分離株(神経症状有10株、無9株)を接種後day1,4,5,8,14で回収し凍結保存した。一部の解析で増殖能に差のある分離株を検出している。さらに追加試験を2回実施し分離株による増殖能を解析する予定である。 神経病原性を有した患者由来分離株2株の乳のみマウスへの接種実験では、生死又は病態の肉眼的な変化は認められていない。生体内でのウイルス分布について接種後、主要臓器を摘出し、リアルタイムPCR法にてウイルス定量を実施する予定である。
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