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2020 年度 実施状況報告書

大規模アウトブレイクの原因となった薬剤耐性菌は、地域への蔓延をもたらしたのか?

研究課題

研究課題/領域番号 18K10040
研究機関地方独立行政法人 大阪健康安全基盤研究所

研究代表者

河原 隆二  地方独立行政法人 大阪健康安全基盤研究所, 微生物部, 主任研究員 (10332454)

研究分担者 中村 寛海  地方独立行政法人 大阪健康安全基盤研究所, 微生物部, 主幹研究員 (00332445)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2022-03-31
キーワード薬剤耐性プラスミド / カルバペネマーゼ / ゲノム解析
研究実績の概要

これまでに実施したカルバペネム耐性腸内細菌科細菌(CRE)分離株のゲノム解析の結果から、大阪府内で分離されたblaIMP-6を保有するプラスミドは、既報のpKPI-6類縁と思われる約50kbpのIncNプラスミドと約150kbpのIncFプラスミドに大別できることが明らかとなった。地域内にCREが拡散するきっかけと推定されるアウトブレイクでは、IncNプラスミドがメジャーであったことから、このプラスミドをターゲットに年代を追って解析することが重要であることが示唆された。
さらに詳細なプラスミドの解析を行うにあたり、新たにin vitroで特異的にプラスミドのみを増幅する方法を考案した。この方法を用いるメリットは、PCRのように簡便でかつ耐性遺伝子特異的にサンプル調整が可能なことであり、全ゲノムシーケンサーによる解析のコストも大幅に下げることができることだと考えており、将来的には各種薬剤耐性遺伝子にも応用できる可能性もある。本研究ではblaIMP-6保有IncNプラスミドで応用するために、クローニングベクターを用いてモックアップサンプルを作成し、構想通りin vitroで増幅することを確認しており、現在、臨床株由来プラスミドの増幅に取り組んでいる。
また、国内の地方衛生研究所で簡便にblaIMPの同定を行うことのできるPCR法の構築、新規FRI-8および9の同定を行い、論文や学会等で発表を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

blaIMP-6保有プラスミドの解析の結果から、プラスミドを大まかに分類することができるようになった。このため、特に地域に広がりやすいと予測されるタイプのプラスミドを特定できるようになり、それをターゲットとした新たな解析ツールの発案につなげることができた。また、他のCRE検査法の開発や新規カルバペネマーゼの解析等も行っており、成果が上がりつつある。しかしながら、コロナウイルス感染症の流行を受けて、業務における本研究のプライオリティを下げざるを得ない状況となったことと、プラスミド増幅に用いるキットの販売が2021年初頭となったことにより、全体としての進捗が遅れている状況である。

今後の研究の推進方策

新規の薬剤耐性遺伝子特異的in vitroプラスミド増幅法の開発と検証を進め、臨床で分離される薬剤耐性菌株への応用を進める。従来より進めていたポータブルシーケンサー(MinION)の活用と合わせて実施することにより、本研究の目的であるblaIMP-6保有プラスミドの系統的解析を推進する。また、薬剤耐性菌のスクリーニング検査法として全ゲノム解析を行い、従来の細菌検査よりも詳細かつ迅速な方法として実施できないかMinIONを用いて検討を行う予定である。

次年度使用額が生じた理由

コロナウイルス感染症の流行を受けて、業務における本研究のプライオリティを下げざるを得ない状況となったことと、プラスミド増幅に用いるキットの販売が2021年初頭となったことにより、全体としての進捗が遅れたため。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Subtype screening of blaIMP genes using bipartite primers for DNA sequencing2021

    • 著者名/発表者名
      Kawahara Ryuji、Watahiki Masanori、Matsumoto Yuko、Uchida Kaoru、Noda Makiko、Masuda Kanako、Fukuda Chiemi、Abe Yuki、Asano Yukiko、Oishi Kazunori、Shibayama Keigo、Shinomiya Hiroto
    • 雑誌名

      Japanese Journal of Infectious Diseases

      巻: - ページ: -

    • DOI

      10.7883/yoken.JJID.2020.926

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 地方衛生研究所における薬剤耐性菌検査・研究とその結果から見えるもの2020

    • 著者名/発表者名
      河原隆二
    • 学会等名
      第63回日本感染症学会中日本地方会学術集会
    • 招待講演
  • [学会発表] 大阪府内で分離されたmCIM陽性Enterobacter cloacae complex 株の解析2020

    • 著者名/発表者名
      河原隆二, 山口貴弘, 安達史恵, 安楽正輝, 川津健太郎
    • 学会等名
      第49回 薬剤耐性菌研究会

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公開日: 2021-12-27  

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