これまでの研究結果から、大阪府内の医療機関で分離されるblaIMP-6プラスミドは、主に既報のpKPI-6類縁と思われるIncNプラスミドに分類されることが明らかとなった。さらに検出数は少ないものの、IncN+IncFIIK+IncFIBK複合型、IncA/C型といった異なる系統のプラスミドが、比較的新しい年代で検出されていた。さらに、医療機関以外でこれらと同様の薬剤耐性プラスミドが検出されていないか、当研究所で保存している主に市販食肉から2009~2010年、2020~2021年に分離した薬剤耐性E. coli及びKlebsiella preumoniae約300株を対象としてblaIMP-6遺伝子のスクリーニングを実施した。その結果、2009年に合い挽き肉から分離したKlebsiella preumoniae1株でblaIMP-6が検出された。この株についてゲノム解析を実施し当該プラスミド配列を決定し、類似したプラスミドを検索した。完全に一致するものはなかったが、大阪府内の医療機関で検出されたpKPI-6類縁プラスミドと近いものであることが明らかとなった。2009年当時はblaIMP-6の出現及び流行は探知されておらず、食品への混入がどのように生じたかは不明であるが、耐性菌拡散に関与する何らかのイベントがあったことが推測された。また、薬剤耐性遺伝子の検出や薬剤耐性プラスミドの解析を容易に実施するために、ロングリードシーケンサー(MinION、Nanopore社)の活用について検討を行った。簡易なDNA抽出法とMinIONによるデータ取得と解析を行うもので、リアルタイムかつ迅速に結果を得られるものを目標として試行を行なった。うまく実行することができたものもあったが、一部の菌種でシーケンスデータが取れなかったことから、方法の改善が必要だと考えられた。
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