研究課題/領域番号 |
18K10045
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研究機関 | 神戸常盤大学 |
研究代表者 |
大澤 佳代 神戸常盤大学, 保健科学部, 教授 (50324942)
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研究分担者 |
重村 克巳 神戸大学, 保健学研究科, 准教授 (00457102)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | カルバペネマーゼ / 基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ / 薬剤耐性細菌 / 多国間比較 / 薬剤耐性遺伝子 / 耐性遺伝子集積配列 / プラスミド |
研究実績の概要 |
今年度は国内およびインドネシアで検出された株について下記のごとく解析した。 基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ(ESBL)産生Escherichia coliについて、世界での流行に関わっている遺伝子型であるSequence type (ST)131クローンが重要である。STは、詳細なクローン分類を可能にするが、7種の遺伝子の塩基配列を決定する必要がありコストと時間を要する。そこで、MLSTに用いられるfumCアレル番号とfimH型の組み合わせによるCHタイピングにより、2016年から2017年に兵庫県内で分離されたESBL産生Escherichia coli 83株について、CHタイピングを行った結果、15タイプが検出された。最も多く検出された型はCH40-30で、83株中54株(65%)を占めていた。ST131特異的PCRの結果、fumCのアレル番号が40となるクローンは全てST131であった。今回の報告は、本邦でのESBL産生 E. coliは、ST131に関わるCH40-30が中心となっていることがわかり、Int J Mol Sci.(2019)に掲載された。 2009年から2017年にインドネシアにおける小児下痢症患者からの便及び養殖場から採取された海老より分離したVibrio cholerae 44株について、薬剤感受性、血清型O1またはO139遺伝子とコレラ毒素を含む毒素産生性などの病原性、遺伝子型及び菌株同士の相同性の確認などの疫学調査を行った。環境サンプルからのそれらの分離株は、アンピシリン、ストレプトマイシンおよびナリジクス酸に対する耐性を示し、ST69が38.6%を占めていた。これらの株はクローン的に広がっており、この結果はIndian J Microbiol.(2020)に掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前述のとおり、インドネシアおよび日本における薬剤耐性細菌における詳細な疫学解析を行い、論文掲載により報告を行っている。さらに今年度は2015年から2016年のインドネシアの市中病院からのカルバペネム耐性細菌22株ならびに同時期に検出された兵庫県内の臨床施設からのカルバペネム耐性細菌18株を対象とし、薬剤感受性、カルバペネマーゼ産生ならびに遺伝子型別を行い、その特徴について学会発表を行った(第67回日本化学療法学会西日本支部総会,2019) 。インドネシアにおける尿路感染症患者からのESBL産生Klebsiella pneumoniae 95株の薬剤耐性かつ病原性における特徴について学会発表を行った(第67回日本化学療法学会西日本支部総会,2019)。 また、新規合成抗菌ペプチドについてカルバペネム耐性を含む各種薬剤耐性感性細菌についての効果を検討し、学会発表を行った(第39回日本細菌学会総会、2020)。 このように、現在までの達成度として、概ね予定どおり進めている。
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今後の研究の推進方策 |
現在、引き続き、インドネシアや台湾、日本のカルバペネムを含む薬剤耐性細菌について、薬剤感受性試験と一部薬剤耐性遺伝子を確認するなど進行中である。また、インドネシアやネパール、日本の環境中(病院近辺や川)あるいは食肉(チキン)からの薬剤耐性細菌の検出を行っており、すでに薬剤感受性試験を終了し、次世代ゲノムシークエンスを一部解析しており、今後学会発表や論文作成を進めている。さらに、新たな合成抗菌物質を開発しており、様々な薬剤耐性細菌への効果を検討中であり、新たな結果が期待できる。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた消耗品費との差額が生じてしまったためである。来年度には消耗品費として物品購入をする予定である。
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