研究課題
インドネシアで分離された基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ(ESBL)産生大腸菌について、CTX-M-15型が染色体上あるいはプラスミド上に存在しているかどうかという遺伝子局在をサザンブロットハイブリダイゼーションによって確認した。CTX-M-15遺伝子を保有する54株のうち、27株が染色体上に、20株がプラスミド上に、7株が染色体とプラスミド上に局在を示した。CTX-M-15遺伝子の染色体性とプラスミド性において菌株の系統の違いが認められた。プラスミド上にCTX-M-15遺伝子を持つESBL産生大腸菌は、ピペラシリン-タゾバクタムに対して有意に高い耐性率を示した。この結果は、Int J Urol.(2021)に掲載された。また、インドネシア株のうち、カルバぺネム耐性細菌のDNAをS1 nuclease処理後パルスフィールド電気泳動(PFGE)を実施し、プラスミドDNAバンドをそれぞれ切り出し、DNAを抽出後、次世代シークエンサーにより配列解読を実施した。解析した株からS1-PFGEによりそれぞれ1から3つずつのプラスミドバンドが確認でき、特にKlebsiella株で確認されたNDM-1型カルバペネマーゼ遺伝子をもつプラスミドには2つの系統が確認された。インドネシア株と日本株の2国間での薬剤耐性菌の分子疫学的解析を行った。対象はインドネシアのESBL産生大腸菌115株と日本のESBL産生大腸菌72株ならびにカルバペネマーゼ産生大腸菌 23株を用いた。これらの株について、反復配列多型解析法により、細菌ゲノムにおける単一配列のタンデムリピート領域数の違いを基に菌株を型別し、薬剤耐性に関する樹形図を描き、その遺伝的類似性と相違性について比較解析し、その違いを確認した。その結果、インドネシア株と日本株において系統的な類似性をもつ株が多く認められた。
すべて 2021 2020 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 3件、 査読あり 3件) 学会発表 (2件)
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