次世代シーケンシング技術の導入により、悪性中皮腫の発癌に関与していると考えられる融合遺伝子が続々と明らかになってきた。これらの多くは、NF2、ALK、BAP1、PBRM1、SETD2、EWSR1、PTENの各融合群にグループ分けできる。研究代表者が解析した悪性中皮腫細胞株においては、ALK融合群の2融合遺伝子(ALK-SDC1、ALK-RAB3B)とSETD2融合群の1融合遺伝子(SETD2-PCDH15)が同定され、悪性中皮腫の発癌に関与している可能性が考えられた。ALK融合遺伝子陽性の悪性中皮腫に対しては、分子標的治療薬としてALKチロシンキナーゼ阻害薬が治療効果を示すことが示唆された。
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