研究課題
上五島地区のATL患者の地域特性を明らかにするために, HTLV-1検査データベース内のHTLV-1陽性者から発症したATLを特定し, 性別・出生年別発症率を求める予定であった。2018年度は3回上五島病院を訪問し、カルテを参照したが、カルテに詳細な記載がないことや、古い年代の患者では紙カルテの入手が困難なこともあり、正確なHTLV-1データベースがなく難航している。しかし今後も上五島を訪問し、データベースを作成していく予定である。miRNA解析については、HTLV-1キャリアからATL進展時の経時的血清マーカー変動を明らかにするために、上五島地区の血清を使用する前に、まず長崎大学にある少数の検体を用いて網羅的にmiRNAを解析してきた。長崎大学病院検査部に保存してあるHTLV-1陰性健常者、HTLV-1キャリア、慢性型ATL、急性型ATL3例ずつの保存血清を、東レ株式会社研究所に送付し、3D-GENEというDNAチップを用いてmiRNAを網羅的に解析してきた。解析はうまくいっており、2019年3月に解析結果がでて、現在解析中である。今後、それらの結果からATL発症予測となるmiRNAの分子マーカー候補が同定されれば、長崎大学や上五島地区の多数の症例の血清を用いて、そのmiRNAの発現を検討する予定である。症例にはHTLV-1陰性健常者、HTLV-1キャリア、慢性型ATL、急性型ATLを含めることで、ATL発症におけるmiRNAの関与が解明できるのではないかと期待している。研究計画はおおむね順調に進行していると考えられる。
2: おおむね順調に進展している
miRNA解析については、東レ株式会社研究所に依頼し、少数例の網羅的解析を終了しており、その結果を解析し分子マーカーを同定するところまで来ており、順調に進行している。ただ上五島地区のATL患者の調査が上五島病院でのHTLV-1データベースができていないことから若干遅れている。
現在検討中の少数例での網羅的miRNA解析結果から、HTLV-1発症の分子マーカーの候補を同定できれば、長崎大学病院や上五島病院のATL症例の多数例の血清を用いて、そのmiRNAの発現を検討する予定である。上五島地区のHTLV-1検査データベース作成については今後も数回上五島を訪問し、進めていく予定である。
すべて 2019 2018
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
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