研究課題/領域番号 |
18K10054
|
研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
アウン メイジソウ 札幌医科大学, 医学部, 助教 (10749584)
|
研究分担者 |
川口谷 充代 札幌医科大学, 医学部, 助教 (70733062)
小林 宣道 札幌医科大学, 医学部, 教授 (80186759)
漆原 範子 札幌医科大学, 医学部, 准教授 (80396308)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 黄色ブドウ球菌 / 新型エンテロトキシン / 分子疫学 / 新規病原因子 / 新規変異型付着因子 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、黄色ブドウ球菌の新型エンテロトキシン様毒素(SElW, SElX, SElY)、新規病原因子、新規変異型付着因子の、臨床分離株および健康人定着株における疫学的分布状況と病態・疾患との関連を明らかにすることである。新型エンテロトキシン様毒素について、北海道の市中感染型MRSA624株について解析した結果、selxは86.2%、selyは35.6%、selwは93.4%の菌株に検出された。ミャンマーでの健康成人由来144株でも、selx, sely, selwは各々94%、20%、98%に検出され、同様の分布状況を示した。これら新型エンテロトキシン様毒素の遺伝子学的解析のため、異なるコアグラーゼ遺伝子型の株から対象を選び、22株のselw、69株のselx、46株の sely遺伝子の配列を決定した。以上のほか、新規ブドウ球菌種S. argenteus 9株についても調べたところ、selyが7株に検出、selx、selwは異なる1株づつのみに検出された。新規病原因子フォンビルブランド因子結合蛋白遺伝子(vWbp)は健康成人由来株で81.3%に検出された。新規変異型付着因子(エラスチン結合蛋白、ebpS-v)は、バングラデシュでの病院分離株430株中4株(ST121)に、また北海道における健康な小児の口腔由来株においても143株中、2株(ST45、ST120)に検出された。北海道の2つの遺伝子型株のebpS-vは、ST121のそれと同じ系統に属することが系統解析で判明した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型エンテロトキシン様毒素遺伝子(selw, selx, sely)の検出と遺伝子配列の決定が終了したため。また新規病原因子フォンビルブランド因子結合蛋白遺伝子(vWbp)の検出の一部、新規変異型付着因子・エラスチン結合蛋白遺伝子(ebpS-v)の検出と解析が終了したため。
|
今後の研究の推進方策 |
すでに遺伝子配列を決定した新型エンテロトキシン様毒素遺伝子(selw, selx, sely)の系統遺伝学的解析を行ない、早期に論文化する。フォンビルブランド因子結合蛋白遺伝子(vWbp)の分布状況を他の菌株群を対象に調査し、その遺伝子配列の多様性を解析する。ebpS-vについてはミャンマーの病院分離株を対象に検出・解析を行なう。
|