研究課題/領域番号 |
18K10059
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研究機関 | 愛知医科大学 |
研究代表者 |
梅村 朋弘 愛知医科大学, 医学部, 講師 (10401960)
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研究分担者 |
寺崎 寛章 福井大学, 学術研究院工学系部門, 助教 (40608113)
大西 一成 聖路加国際大学, 専門職大学院公衆衛生学研究科(公衆衛生大学院), 准教授 (50596278)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 南アジア / インド / コルカタ / 大気汚染 / 呼吸器障害 / 呼気中一酸化窒素 |
研究実績の概要 |
南アジアでは乾季にあたる11月~3月頃に大気汚染が顕著となり、インド西ベンガル州の都市であるコルカタも同様の傾向である。コルカタ人口の7割を占める貧困層は粗末な家に住んでおり、大気汚染の影響を受けやすい。西ベンガル州農村部の住民も貧しい暮らしをしているが、大気汚染はコルカタほど深刻ではない。しかし、住民はバイオマスを調理等の生活燃料として使っており、室内空気汚染が懸念されるため、都市部に比べて良い環境で生活しているとは断言できない。そこで、季節や地域による違いを検討すべく、都市部であるコルカタと同じ西ベンガル州の農村部であるジャタで、住民の呼気中一酸化窒素(気道に生じる好酸球性の炎症を反映する指標で一般的にFeNOと呼ばれる)や症状について調査を行った。器官が未成熟なために外部環境の影響を受けやすい児童(調査開始時である2019年1月の平均年齢12.5歳の男児)を対象として、2019年8月(雨季)に調査を実施し、2019年1月(乾季)の調査結果と比較した。雨季におけるコルカタ児童のFeNOは22.3±17.5ppb、ジャタ児童のFeNOは16.8±6.7ppbでった。雨季の調査において都市部と農村部の差はあったが、乾季におけるコルカタ児童のFeNOは24.9±16.1ppb、ジャタ児童のFeNOは11.7±3.5ppbであり、それぞれの地域における季節はなかった。一方、咳、くしゃみ、目の痒みなどの有症率は乾季に比べて、雨季の方が都市部および農村部のいずれも低かった。以上のことから、雨季は症状が出るほどではないものの、気道の炎症指標であるFeNOを見る限り、雨季も大気汚染の影響を受けている可能性が示唆された。また、季節差が検出されなかったのは室内空気汚染の影響が考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
雨季の調査は計画通りに実施できたが、乾季のマスク介入に関しては現地の準備が整わずに実施できなかった。これは令和02年度の乾季に持ち越す予定であるが、新型コロナウイルスに関わる諸条件に左右される。
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今後の研究の推進方策 |
令和01年度の乾季に実施予定だったマスクを使った介入を令和02年度の乾季(令和03年の1月)に実施予定である。本研究は新型コロナウイルス感染症が世界に拡大する前の「乾季の大気汚染がひどいにも関わらず、マスクを使う習慣がほとんどない」というインドの生活習慣を前提としている。しかし、新型コロナウイルス感染症がインドにも蔓延した結果、生産活動が低下して大気汚染が大幅に改善し、貧困層でも手作りのマスクを着用するようになった。こうした状況で同じデザインで研究を実施することができるか(適当か)分からない。また、介入予定の令和03年1月の新型コロナウイルスの状況が推測できず、新型コロナウイルスが収束してもインドに入国することができない可能性がある上、住民の生活習慣が変わってしまっている可能性がある。現地関係者と連絡をとりながら新型コロナウイルスの状況や生活習慣の変化を注視しつつ、どのような調査方法が適当か検討を進めたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
経費を可能な限り切り詰めて使用したことに加えて、2020年1月に予定していた現地調査ができずにその分の旅費が残ったため。2020年1月に予定していた調査は2021年1月に実施する予定であり、そのための旅費として充当する。
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