研究課題/領域番号 |
18K10059
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研究機関 | 愛知医科大学 |
研究代表者 |
梅村 朋弘 愛知医科大学, 医学部, 講師 (10401960)
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研究分担者 |
寺崎 寛章 福井大学, 学術研究院工学系部門, 講師 (40608113)
大西 一成 聖路加国際大学, 専門職大学院公衆衛生学研究科(公衆衛生大学院), 准教授 (50596278)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 南アジア / インド / コルカタ / 大気汚染 |
研究実績の概要 |
新型コロナウイルスの流行およびそれにともなう海外渡航制限のため、インドでの現地調査をすることが全くできなかった。前年度調査を実施したコルカタ(都市部)とジャタ(農村部)について、調査期間中の大気汚染指標であるAQI(Air Quality Index)を調べた。ジャタのAQIは入手できず、最も近い測定点であるハルディアの値を代用した。また、コルカタ市内については調査期間中の大気質分析の評価をした。 現地調査期間は乾季雨季ともにおおよそ一週間だったがその週を含む2ヶ月間の平均AQIを調べたところ、乾季は都市部が335、農村部が156、雨季は都市部が51、農村部が38で、乾季雨季ともに都市部の方が大気汚染が深刻であった。 大気質分析に関しては、乾季のPM2.5が日本の環境基準の10倍程度と高濃度で検出された。また、乾季にはNO3-やSO42-が高濃度で検出された。インドからバングラデシュに渡って広がるガンジスデルタでは焼成レンガの生産が盛んである。レンガ焼成時には石炭を燃焼させるが、石炭の燃焼ガスにはNO3-やSO42-が含まれるため、本成分はレンガ焼成に起因すると考えられる。また、OC成分も高濃度で検出された。OCは低温燃焼で発生する炭素系成分である。ゴミなどを燃焼した場合に発生する炭素系成分もここに含まれることを考えると、本研究の仮説のひとつであった「気温が低くなる乾季は採暖のためにゴミを燃やすことで大気汚染が悪化する」ことを否定する結果ではない。しかし、OCにはゴミ燃焼成分に由来しないものも含まれるため、ゴミ燃焼が大気汚染にどの程度寄与しているかは不明である。Si(シリカ)も検出された。Siは土壌由来である可能性が高く、乾季に乾燥して土壌成分が巻き上げられていることを反映するものであろう。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
令和02年度は新型コロナウイルスが流行してインドを含む海外への渡航が制限された。本研究はインドにおける介入研究・フィールドワークであるため、実質的な活動が何もできなかった。
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今後の研究の推進方策 |
令和02年度の乾季(2021年01月~02月)に予定していた介入調査を令和03年度の乾季(2022年01月~02月)に延期して実施する予定である。当初はマスク着用習慣のないインドにおいて大気汚染の影響を防ぐためのマスク着用を介入として考えていた。しかし、新型コロナウイルス流行のためにマスク着用習慣が広まったため、マスク着用が介入として適当か分からない。また、昨年度の結果から、大気汚染より室内空気汚染の方が健康への影響が大きい可能性がある。それゆえ、マスク以外の適当な介入方法を検討したい。現地渡航が可能になればすぐに調査をできるように資機材や消耗品などの準備を万全にしておく。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの流行により、現地渡航ができずに研究が進まなかったため。
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