研究課題/領域番号 |
18K10059
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研究機関 | 愛知医科大学 |
研究代表者 |
梅村 朋弘 愛知医科大学, 医学部, 講師 (10401960)
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研究分担者 |
寺崎 寛章 福井大学, 学術研究院工学系部門, 講師 (40608113)
大西 一成 聖路加国際大学, 専門職大学院公衆衛生学研究科(公衆衛生大学院), 准教授 (50596278)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 南アジア / インド / コルカタ / 大気汚染 / 呼気中一酸化窒素 |
研究実績の概要 |
昨年度に引き続き令和3年度も、新型コロナウイルスの流行およびそれにともなう海外渡航制限のため、インドで現地調査をすることはできなかった。過去の現地調査で得られた男児のデータ分析はほぼ終わっていたが、女児のデータ分析は進んでいなかったため、女児のデータ分析を行った。男児は都市部と農村部で対象者の平均年齢に差がなく、地域(都市部と農村部)×季節(乾季と雨季)の二元配置分散分析をすることで気道炎症指標(呼気中一酸化窒素:FeNO)の比較ができた。一方、女児は都市部と農村部で対象者の平均年齢に有意差があったため(都市部平均:12.8歳、農村部平均:14.7歳)、それぞれの地域に分けて乾季と雨季で気道炎症の比較をした(注:FeNOは体格の影響を受けるため)。しかし、都市部(乾季:11.9±6.2 ppb、雨季:17.5±10.8 ppb)も農村部(乾季:14.7±12.6 ppb、雨季:20.6±25.3 ppb)もFeNOに季節差はなかった。本研究実施前は、乾季は雨季より大気汚染が深刻なため、乾季のFeNOは雨季に比べて高い値を示すと予想していたが、男女ともに季節による変化はなかった。このことから、季節差がある大気汚染ではなく、季節差の少ない室内空気汚染の影響が大きい可能性が示唆された。雨季の都市部調査でFeNOが30 ppbを超える対象者はいなかったが、農村部では90 ppbを超える対象者が2人いた。農村部ではバイオマスが主要燃料であり、換気が不十分な室内で利用する場合、人体(特に器官が未熟な子ども)へのインパクトは大きい。それゆえ、生活環境の詳しい調査が必要と考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウイルスが流行してインドを含む海外への渡航が制限された。本研究はインドの貧困層を対象とした介入研究・フィールドワークであるため、実質的な活動が何もできなかった。
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今後の研究の推進方策 |
科研費申請時は新型コロナウイルスの流行前であったため、マスク着用習慣のないインドにおいて大気汚染の影響を防ぐためにマスクを着用してもらい(介入)、その効果を気道炎症指標(FeNO)などを測定して評価する予定だった。しかし、新型コロナウイルス流行のためにマスク着用習慣が広まったため、マスク着用が介入として適当か分からない。また、これまでの結果から、大気汚染より室内空気汚染の方が健康への影響が大きい可能性がある。それゆえ、マスク以外の適当な介入方法を検討したい。現地渡航が可能になればすぐに調査をできるように資機材や消耗品などの準備を万全にしておく。
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次年度使用額が生じた理由 |
経費を可能な限り切り詰めて使用したことに加えて、現地調査ができずにその分の旅費が残ったため。令和4年5月現在、新型コロナウイルスの流行が落ち着きつつあり、今年度は現地調査が見込めるため、その旅費として充当する。
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