研究課題/領域番号 |
18K10061
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研究機関 | 国立研究開発法人国立環境研究所 |
研究代表者 |
鈴木 武博 国立研究開発法人国立環境研究所, 環境リスク・健康研究センター, 主任研究員 (60425494)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 妊娠期曝露 / ヒ素 / 後発影響 |
研究実績の概要 |
昨年度、妊娠8日~18日に85 ppmの亜ヒ酸ナトリウム(NaAsO2)(ヒ素群)及び水(対照群)を自由摂取させたC3Hマウスから、それぞれ仔世代(F1)、孫世代(F2)を得た。今年度は、これらの仔世代(F1)について検討をおこなった。8~10週齢及び74週齢で解剖し、昨年度確立した条件で、コラゲナーゼ灌流により肝臓から肝細胞と星細胞を単離した。8~10週齢及び74週齢の肝臓から単離した肝細胞と星細胞をそれぞれ37度で24時間培養後、培地に含まれる、上皮間葉転換に関連するタンパク質の分泌量をLuminexアッセイにより測定した。その結果、肝細胞あるいは星細胞から特徴的に分泌されるタンパク質を明らかにした。また、対照群と比較してヒ素曝露群で有意に分泌量が変化するタンパク質が存在することも明らかとなった。これらのタンパク質は、8~10週齢よりも、74週齢で、分泌量の変化の差が大きくなる傾向がみられた。以上の結果から、今回、分泌量に変化がみられたタンパク質は、妊娠期ヒ素曝露による仔世代の後発的な肝腫瘍増加メカニズムに関与する可能性が示唆された。今後、孫世代(F2)についても、検討を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
妊娠8日~18日に85 ppmの亜ヒ酸ナトリウム(NaAsO2)(ヒ素群)及び水(対照群)を自由摂取させたC3Hマウスから得た仔世代(F1)の肝臓から調製した肝細胞あるいは星細胞において、Luminexアッセイにより、ヒ素群で、上皮間葉転換に関連するタンパク質の分泌量が変化していることを明らかにできたため、おおむね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は、妊娠8日~18日に85 ppmの亜ヒ酸ナトリウム (NaAsO2) を飲水投与したC3Hマウス (ヒ素群) 及び対照群から得た、孫世代(F2)を8~10週齢、及び74週齢まで飼育する。肝臓から肝細胞及び肝星細胞単離し、上皮間葉転換などのメカニズムに着目して妊娠期ヒ素曝露による後発的な肝腫瘍増加メカニズムの解析をおこなう。
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