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2018 年度 実施状況報告書

ウイルス性肝細胞癌の早期診断の徹底と非B非C型肝細胞癌のサーベイランスへの挑戦

研究課題

研究課題/領域番号 18K10065
研究機関鳥取大学

研究代表者

岡野 淳一  鳥取大学, 医学部, 講師 (00343278)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2022-03-31
キーワード肝細胞癌 / サーベイランス / 非B非C型
研究実績の概要

鳥取県内の拠点8病院において2017年度に初発肝細胞癌(HCC)と診断した151例の情報収集とデータ解析を行った。成因は、B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、HCV (DAA-SVR)(DAA;直接作用型抗ウイルス薬、SVR;持続的ウイルス陰性化)、HCV (IFN-SVR)(IFN;インターフェロン)、非B非C型(NBNC) (non-ALD)(non-ALD;非アルコール性)、NBNC (ALD)(ALD;アルコール性)と分類した。HBV 28例(18.5%)、HCV 33例(21.9%)、HCV (DAA-SVR) 4例(2.6%)、HCV (IFN-SVR) 5例(3.3%)、NBNC (non-ALD) 42例(27.8%)、NBNC (ALD) 39例(25.8%)であり、非ウイルス性のHCCが53.1%と過半数を占めていた。
HBVとNBNC (ALD)は男性の割合が高い、HCVとNBNC (ALD)は肝硬変の合併率が高い、HCV (DAA-SVR)は高血圧・糖尿病・肥満の合併率が高い、NBNC (ALD)は喫煙率が高い、NBNCは高血圧・脂質異常症・糖尿病の合併率が高い、という特徴があった。
サーベイランス遵守率は、HBV 53.6%(15/28例)、HCV 45.5%(15/33例)と芳しくなかったが、HCV (DAA-SVR) 100%(4/4例)、HCV (IFN-SVR) 100%(5/5例)とSVR後HCV症例は全例サーベイランスが行われていた。一方、NBNC (non-ALD)とNBNC (ALD)ではそれぞれ14.3%(6/42例)、12.8%(5/39例)サーベイランス遵守率は低かった。
HBV HCCサーベイランス逸脱13例はいずれもHBV陽性を知らなかった症例であった。HCV HCCサーベイランス逸脱18例中12例はHCV陽性を知らなかった症例であり、HCV陽性を知っていたが放置していた症例が1例、医師が定期的な画像検査を怠った症例が5例あった。なお、サーベイランス遵守有50例のHCC性状は、サーベイランス遵守無101例に比べて早期診断され、手術・経皮治療の根治を目指した治療が多く施行されていた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

NBNC (non-ALD) HCCでは糖尿病の合併率が52.4%と高かったことに注目し、NBNC (non-ALD) HCC糖尿病有22例と糖尿病無20例との背景因子を比較検討した結果、糖尿病有は無に比べて若年で高血圧・脂質異常・脂肪肝・肥満の合併率が高く、血小板数低値で、年齢[years]×AST[U/L]/血小板[109/L]×(ALT[U/L]1/2)で算出されるFib-4 indexが高値という傾向を認めた。このように、NBNC (non-ALD) HCCの危険因子をある程度抽出できたことが理由である。

今後の研究の推進方策

NBNC (non-ALD) HCC糖尿病有22例の血小板数を階層化した結果、10 x 104/microL以下が5例(22.7%)、15 x 104/microL以下が8例(36.4%)、20 x 104/microL以下が16例(63.6%)を占めていたことから、血小板数15~20 x 104/maicroL以下の糖尿病症例に対してサーベイランスを行うと、効率的かつ現実的な対象患者数に対してNBNC (non-ALD) HCCを診断できる可能性があると思われたため、今後検討を進めていく。

次年度使用額が生じた理由

肝炎ウイルス検査啓発活動費を予定より低い金額で抑えることができたことや研究補助員への謝金が発生しなかったため、次年度使用額が生じた。
次年度においては節約はしながらも十分に活動経費を使用していく予定である。

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公開日: 2019-12-27  

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