本研究の目的は、1.乳がん初期治療後のmodifiable life style (食事・運動・肥満・睡眠・飲酒・喫煙など) や代替療法が、その後の乳がんアウトカム(再発や死亡・治療関連合併症・健康関連QoL)や二次がんの発生に及ぼす影響を、前向きコホート研究により明らかにすることである。 本目的のため平成25年2月より乳癌診断後のライフスタイルと乳癌アウトカムとの関連性の検証を目的とした多施設共同コホート研究を開始し、現在進行中である。同コホート研究は、地域の乳がん登録データベース(臨床病理学的情報・治療関連情報・予後情報を網羅)を基盤として、ライフスタイルや代替療法に関する調査を年1回継続し、診断時と1年後の血液検体を収集している。コホート研究の目的は、包括的な乳がんアウトカムとして、治療関連合併症・心理・身体機能・健康関連QoLを予後情報に加え測定し、modifiable life styleとの関連を明らかにすることである。 同コホート研究の進捗状況は、2018年2月にほぼ目標症例数(2000例)に対し、1942例の登録を完了し、現在追跡調査を実施中である。調査票の回収状況が毎月モニタリングを実施しており、高い回収率を維持できている。2021年5月現在、登録患者のベースラインデータ(対象患者の社会背景情報、乳がんの臨床病理学的進行度、生物学的特性、手術・放射線療法・薬物療法などの治療関連因子)のデータクリーニングを実施中であり、データ確定後に論文化を予定している。最終追跡調査は2023年2月に終了予定であり、同時期に登録調査の一斉転帰調査を(乳がん再発、死亡等の予後調査)実施する。その後modifiable life style(食事・運動・肥満・睡眠・飲酒・喫煙など)と乳がんアウトカムとの関連性に関する解析を実施し、得られた研究成果を学会発表や論文により公表する予定である。
|