研究課題/領域番号 |
18K10071
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
竹村 重輝 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (70511559)
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研究分担者 |
津野 香奈美 神奈川県立保健福祉大学, ヘルスイノベーション研究科, 准教授 (30713309) [辞退]
吉益 光一 神戸女学院大学, 人間科学部, 教授 (40382337)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 手腕振動障害 / 作業管理 / 日振動ばく露量A(8) / 特殊健康診断 / 産業保健 |
研究実績の概要 |
(1)現業公務員(男84、年齢の平均[標準偏差]53.0[5.9]歳)を対象に、平成28年度の振動障害特殊健康診断における筋力低値所見の関連要因を評価した。瞬発握力とつまみ力でみた筋力低値所見を24人(28.6%)に認めた。筋力低値所見と肥満が正の関連を、振動工具取扱年数が負の関連を示した。この結果は「筋力低値を回避するためにより多くの振動ばく露を推奨する」ものではなく、慎重な結果の解釈を要する。 (2)振動工具取扱作業を行う事業場を対象とした労働衛生管理体制の質問紙調査と、振動工具の振動値実測は、社会情勢の変化等により実施にいたらなかった。これに代えて、令和4年度の振動障害健診受診者である、主に林業に携わる労働者(男342、女4、48.8[12.3]歳)と、現業公務員(男71、56.5[7.6]歳)を対象に、労働衛生管理と管理区分の関連をみた。作業時に手袋を「いつも使用している」者は林業群で337人(97.4%)、公務員群で63人(88.7%)、耳栓を「いつも使用している」者は、林業群で50人(14.5%)、公務員群で1人(1.4%)であった。管理区分は、林業群でA(正常か概ね正常であり作業続行可)が314人(90.8%)、B(振動ばく露の影響と考えられる所見があり作業制限が必要)が30人(8.7%)、C(レイノー現象を含む所見があり作業禁止が必要)が2人(0.5%)、公務員群でAが68人(95.8%)、Bが2人(2.8%)、Cが1人(1.4%)であった。林業群では、受診者数が10人以上である事業場の受診者は、受診者数が9人以下である事業場の受診者に比べて、手袋を「いつも使用している」者の割合が高く、耳栓を「いつも使用している」者の割合が低かった。林業群も公務員群も、手袋・耳栓使用の有無によらず、管理区分の割合に差はなかった。一般に労働衛生管理体制は、事業規模が大きいほど充実していることが知られているが、個人用保護具の使用では一貫しない結果が得られた。作業内容に合った個人用保護具使用を含む労働衛生管理の実施が重要と考えられる。
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