研究実績の概要 |
ふまねっと運動(以下、F運動)の実施者が多い北海道内8町において、町役場の協力のもとに、後期高齢者を対象とした調査研究を行った。基本チェックリストを繰り返し測定して比較し、F運動を実施することが後期高齢者の健康維持増進につながり、しいては、介護予防に寄与していることを明らかにすることを目的とした。 2018年10月1日現在で75歳以上79歳未満の在宅生活をしている全町民、合計で3,155人を調査対象として、第1回目調査では2,230人から同意を得て、2018年10月~12月までの間に、基本チェックリストを含む自記式調査票に回答を得た(回答率70.7%)。また、2019年10月~12月までに第2回目調査を行い、1,987人から回答を得た(回答率89.1%)。第2回目調査で死亡、転出、施設入所などの転帰が判明した82人を除いた2,148人に対して、基本チェックリストを含む同様の自記式調査票による第3回目の調査を2020年10月~12月までの間に行い、1,932人から回答を得た(回答率89.9%)。死亡者29人、転出、施設入所、体調不良などの55人を含む216人からは、回答が得られなかった。第3回目調査の結果、過去1年間にF運動を実施していた者は549人(28.4%)で、実施していなかった者1,383人(71.6%)と比べて、日常生活関連動作低下のリスクが男女とも有意に低く、年齢などの交絡要因を調整したオッズ比(95%信頼区間)は男性で0.62(0.39-0.96)、女性で0.41(0.20-0.58)であった。運動器機能低下のリスク、低栄養状態のリスク、口腔機能低下のリスク、閉じこもりのリスク、認知機能低下のリスク、抑うつ状態のリスクには有意な関連性はなかった。 第1回目調査や第2回目調査の結果と同様に、F運動を実施していたによる日常生活関連動作低下に対する予防効果が示唆された。
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