研究課題
死亡診断書での原死因を死因データとして用いた分析において、死因間の誤分類が大きい場合にはリスク因子の推定値へのバイアスが大きくなる。場合によっては無視できない程度に大きく、結果の解釈に大きな影響を与える可能性がある。この問題に対処するため、本研究では、死因間に誤分類がある場合の生存時間解析におけるリスク推定への影響について妥当で現実的な感度分析方法を提案し、また、アウトカムとして複数の死因が競合する場合の生存時間解析での適用を検討してきた。死亡診断書に記載されている死因に誤分類があった場合の、リスク因子推定値へのバイアスの程度や影響度について、ある程度妥当で、かつ現実的な感度分析方法を検討するため、その目的に沿った競合リスク解析方法論検討に絞って研究を行った。最終年度はとくに、本研究で実データとして解析中であるJMSコホート研究(自治医科大学を中心として進められている多施設共同コホート研究)データの死因情報の再整理を行ったうえで、すでに報告した競合リスクどうしの間で起こる誤分類の起こりやすさについて、たとえば高齢者の肺炎などといった要因による誤分類グラデーションも考慮した感度分析を行い、検討結果をまとめている。追跡期間が中央値で20年を超えるような長期追跡データを含む生存時間データ解析を行う際は、従来型の比例ハザードモデルにおいてその仮定に無理がある場合もあり、比例ハザード性の仮定が必要とされない生存時間解析モデルへの適用も併せて行い、研究成果の論文投稿を行うところである。