研究課題/領域番号 |
18K10074
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研究機関 | 十文字学園女子大学 |
研究代表者 |
加藤 則子 十文字学園女子大学, 人間生活学部, 教授 (30150171)
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研究分担者 |
澤田 いずみ 札幌医科大学, 保健医療学部, 准教授 (50285011)
藤田 一郎 福岡女学院大学, 人間関係学部, 教授 (60228989)
柳川 敏彦 和歌山県立医科大学, 保健看護学部, 教授 (80191146)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 親支援プログラム / 遠隔実施 |
研究実績の概要 |
近年の核家族化とコミュニティーの崩壊の中で、育児知識の伝承が不十分なまま、不安な育児を営む親が増えてきている。親支援プログラムは現代の育児の課題を解決するための重要なツールとなっており、その一例である前向き子育てプログラム(トリプルP)に関して効果を科学的に証明する先行研究を蓄積してきたが、育児支援プログラムを提供するプロバイダーの地域における偏在の実態が浮かび上がり、遠距離移動が難しく地理的制約によってプログラムが受けられない親への対応として家庭訪問やIT活用を導入した方法の効果を検証することとした。 すでに国内に50名在住する当該プログラム実施者(ファシリテータ)に加えて、2018年度には、遠隔地を重点的に追加要請し、体制を強化した。2019年度においては、NPO法人の子育てネットワークの協力を得て、埼玉県某市内で、従来型の来所によるプログラム実施を9件、家庭訪問によるプログラム実施を12件実施した。実施前後にアンケートを行い、parenting scale, strength and difficulties questionnaire, depression, anxiety and stress score 等の評価指標に関するデータを取得した。2020年2月以降はCOVID-19感染拡大のなか、対面で行うこれらの介入は継続不可能となった。 これに加えて遠隔地として、青森県内の研究協力者と連絡調整を行い、幼稚園を所轄する自治体の教育委員会メンバーにニードに関するヒアリングを行い、青森県内の家庭に対し、遠隔実施のニードに関するアンケートを行った。 次年度に行う、PCまたはスマートフォンのビデオトーク機能を用いた介入に向けて、ファシリテータと協力の得られる家族で、ビデオトーク機能の確認を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
すでに国内に50名在住する当該プログラム実施者(ファシリテータ)に加えて、地域性を考慮してファシリテータを昨年度追加育成し強化した。このような体制でプログラム介入を精力的に実践し評価データも蓄積されて来た。首都圏の子育て支援NPO等の協力を得て有資格ファシリテータとの間で意見調整を重ねた結果実践できたものである。一方で、2020年2月以降は、COVID-19感染予防のため、対面面談を伴う、従来型来所と家庭訪問による介入の中断を余儀なくされた。この点が、計画よりも介入実績が伸び悩んだ要因となり、これが理由でやや遅れている進捗となった。
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今後の研究の推進方策 |
COVID-19感染の収束には長期戦が見込まれるため、対面面談を伴う、従来型来所と家庭訪問による介入の継続が不透明となっている。このため、PCまたはスマートフォンのビデオトーク機能を用いたプログラム介入による効果判定に研究の重点を移す。PCやスマートフォンのビデオトーク機能は、COVID-19感染拡大に伴う外出自粛の結果、多くの家庭で普及定着してきていることから、実行可能性の高い介入方法であるといえる。埼玉県内のみならず、青森県内の家庭にも協力を募る。20家庭程度の参加を目標とする。このようにして2019年度と2020年度で集められた、従来型の来所、家庭訪問、PCまたはスマートフォンのビデオトーク機能を用いたプログラム介入のそれぞれにつき、parenting scale, strength and difficulties questionnaire, depression, anxiety and stress score 等の評価指標に関する前後における変化を検証する。それぞれの方法の間での効果の際を比較検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2019年度には、COVID-19感染予防のため、対面面談を伴う、従来型来所と家庭訪問による介入の中断を余儀なくされた。これにより計画よりも介入実績が伸び悩んだため、研究費の執行が滞り、次年度使用額が生じた。これを受けて、2020年度には、PCまたはスマートフォンのビデオトーク機能を用いたプログラム介入を積極的に行うことにより研究実績の挽回を図る計画である。このための費用として、研究実施調整費用、研究協力手数料、ファシリテータ謝金、アンケート協力者金として2020年度に使用していく。
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