研究課題
近年の核家族化とコミュニティーの崩壊の中で、育児知識の伝承が不十分となり育児不安が増大する中で、親支援プログラムのニードが高まり、その一例である前向き子育てプログラム(トリプルP)の介入研究を蓄積する中、プログラムを実施するプロバイダーの地域偏在が明らかになり、遠隔実施の必要性が明らかになった。本研究は家庭訪問やIT技術を活用した遠隔実施の効果を検証するものである。1年度目の実施体制の整備に続いて、2年度目にはNPO法人の子育てネットワークの協力を得て、A市内で従来型の来所によるプログラム実施を9件、家庭訪問によるプログラム実施を12件実施したものの、コロナ影響下で十分な実績数には至らなかった。3年度目にはコロナ影響下で親たちの子育て困難感がさらに増大した。一方でPC及びスマートフォンによるビデオトーク機能が普及してきたためこれを活用してプログラム実施を企画し、ウェブサイト等で参加者を募ったところ全国から集まった。1対1介入を4週間続けるレベル3プライマリケアトリプルPを7月から翌年2月までの間に計5名に対し実施した。8週間かけた内容であるレベル4グループトリプルPを、7月から12月まで4クール計36名を対象に実施した(介入群)。子どもの性別年齢及び親の性別年齢をマッチさせた地域パネル36名を対照群とし、無介入で8週間の間隔で評価アンケートに2回答えてもらい、介入群と比較した。両群で学歴等に有意差があったため、これを調整して統計解析したところ、親の子育ての特徴の指標総スコアは介入群で4.16から0.46ポイントと大きく低下し対照群との違いが有意だった。子どもの行動の難しさの総スコアは介入群で14.08から0.33ポイント上昇とあまり効果が見られず、親の不安スコアは4.25から0.47ポイント減少するも、対照群との違いは有意でなかった。コロナ下での育児困難の存在が示唆された。
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