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2018 年度 実施状況報告書

我が国の都道府県別健康アウトカムの比較リスク評価とその活用に関する包括的研究

研究課題

研究課題/領域番号 18K10082
研究機関東京大学

研究代表者

野村 周平  東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 助教 (10799282)

研究分担者 Rahman Mizanur  東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 特任助教 (10726433)
渋谷 健司  東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 教授 (50322459)
齋藤 英子  国立研究開発法人国立がん研究センター, がん対策情報センター, 研究員 (60738079)
阿部 サラ  国立研究開発法人国立がん研究センター, 社会と健康研究センター, 特任研究員 (60739530)
井上 真奈美  国立研究開発法人国立がん研究センター, 社会と健康研究センター, 部長 (70250248)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード疾病負荷 / 危険因子 / 行動リスク / 代謝リスク
研究実績の概要

本研究は国レベルではなく都道府県別の保健アウトカムの危険因子を包括的に詳細分析する試みである。①都道府県別の各種危険因子の分布及びその推移の推計し、②都道府県別の保健アウトカム指標への各種危険因子の寄与割合を推定する。また、③分析結果をより多くの研究者や一般の方が利用できるようにデータのビジュアル化を行う。

危険因子に関する入手できる限りのデータと最新の統計手法を駆使して包括的に分析を行った。2017年における我が国の全死亡に寄る疾病負荷のうち、46.6%は危険因子が同定可能であった。行動様式に由来するリスクが31.4%、代謝リスク24.9%、環境および職業上のリスクが6.1%であった。同様に、障害も鑑みた疾病負荷(DALYs:障害調整生命年)のうち38.0%は危険因子が同定可能であった。行動様式に由来するリスクが25.7%、代謝リスク17.8%、環境および職業上のリスクが6.3%であった。都道府県別に見ても、顕著な違いは見られず、全国的に代謝系リスクに寄る疾病負荷(死亡及びDALYs)が増大している。特に高血圧、高血糖、高BMI、高LDLコレステロールリスクの寄与が大きい。一方、行動リスクの中では喫煙と不健康な食習慣(高塩分、低穀物、低果物)が、全ての都道府県において主要な健康の危険因子であった。喫煙は死亡・DALYsどちらにおいても、疾病負荷に繋がる危険因子の第一位であった。

また、広く研究者や市民社会へ研究成果の還元や疾病負荷研究の活用を推進する目的で、国内外のセミナー(国立がん研究センター主催の国際がん研究機関との第3回合同セミナー)やシンポジウム(韓国保健社会研究院(KIHASA)主催の社会保障フォーラム:The 19th Global Social Security Forum)で講演を行なった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成30年度は、本研究の主要部分である「都道府県レベルでの各種危険因子の推計、保健アウトカム指標への各種危険因子の寄与割合の推計」を行い、1990年から2017年の間の保健アウトカムの危険因子について都道府県別の解析を行った。これら成果については主要医学雑誌であるLancet誌で発表された。さらに、「③分析結果をより多くの研究者や一般の方が利用できるようにデータビジュアル化のためのウェブツールを作成すること」に関連し、MEDITECH FINDER(http://meditechfinder.org)で推計結果のビジュアル化の掲載を行う予定である。一方で、乏しい都道府県別の危険因子に関するデータや方法論の制約により、都道府県レベルの比較リスク評価はさらなる精緻化が求められる。次年度以降に継続して危険因子の推計及び寄与割合の推計の更新を行う予定である。

今後の研究の推進方策

危険因子に関するさらなるデータの入手、推計を継続して行い、都道府県レベルでの各種危険因子の推計、保健アウトカム指標への各種危険因子の寄与割合の推計について引き続き研究を進める。また、平成30年度の成果として、喫煙や不健康な食事といった行動リスクに起因する疾病負荷(死亡及びDALYs)が全国的に高いことがわかったが、これらを是正・行動変容することにより我が国の将来的な健康増進の余地についても推定、検討を行う。

上記を実施するに際しては、疫学、統計学、計量経済学、情報工学などの数量分析手法を駆使し、国内外の疾病負荷研究統括の実績のある研究者、そして異なる学問分野で実績のある研究者が連携して行う学際的な共同研究を推進する。研究成果を広く社会へ還元するために、データビジュアル化のためのウェブツールをさらに広く展開する。

次年度使用額が生じた理由

次年度使用額(62,144円)は分析用の統計ソフトウェアの購入に当てる予定である。最新版がそろそろリリースされる見込みであるため、年度内の購入を控えた。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2019 2018

すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件)

  • [雑誌論文] The 2020 Tokyo Olympic & Paralympic Games: time for Japan to showcase smokefree hospitality2019

    • 著者名/発表者名
      Shuhei Nomura, Haruka Sakamoto,Yusuke Tsugawa, Naoko Iwanaga, Seiichiro Kuchiki, Ichiro Kawachi, Kenji Shibuya
    • 雑誌名

      Tobacco Control

      巻: NA ページ: NA

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Global, regional, and national comparative risk assessment of 84 behavioural, environmental and occupational, and metabolic risks or clusters of risks for 195 countries and territories, 1990-2017: a systematic analysis for the Global Burden of Disease Study 20172018

    • 著者名/発表者名
      GBD 2017 Risk Factor Collaborators
    • 雑誌名

      The Lancet

      巻: 10159 ページ: 1923-94

    • DOI

      https://doi.org/10.1016/S0140-6736(18)32225-6

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著

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公開日: 2019-12-27  

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