研究課題/領域番号 |
18K10086
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
有澤 孝吉 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 教授 (30203384)
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研究分担者 |
上村 浩一 兵庫県立大学, 兵庫県立大学・看護学部・保健医療福祉系, 教授 (50346590)
釜野 桜子 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 講師 (00612574)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | メタボリック症候群 / 食事酸負荷 / 非アルコール性脂肪性肝疾患 / 栄養素パターン / がん死亡率 |
研究実績の概要 |
(1)日本多施設共同コホート(J-MICC)研究のベースライン調査の参加者28,147人において、食事酸負荷とメタボリック症候群(MetS)との関連について検討した。食事酸負荷の指標として、Net Endogenous Acid Production(NEAP)を用い、NEAPとMetSおよびその構成要素との関連を検討したところ、NEAPの値が高いほど、MetS、高血圧、血糖高値の有病率が高くなった(傾向性P-値<0.05)。慢性的な、軽度の代謝性アシドーシスがMetSと関連していることが明らかとなった。(2)次に、徳島地区のJ-MICC研究の参加者1,588人について、21栄養素の摂取量に因子分析を適用し、栄養素パターンと非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の指標であるFatty Liver Index(FLI)との関連について検討した。4つの栄養素パターンが抽出され、そのうち、ビタミン、カリウム、鉄、食物繊維の多い栄養素パターンは、FLI高値と負の関連があり、FLIの構成要素との関連の検討から、この栄養素パターンは腹囲、Body Mass Indexの減少を介して低いFLIと関連していることが明らかとなった。この研究は、栄養素パターンとNAFLDとの関連を検討した最初の報告となった。(3)J-MICC研究のベースライン調査参加者のうち、MetS診断のための情報がそろっている28,554人を対象として、9年間の前向き調査を行い、MetSとがん死亡率との関連について検討した。交絡因子となりうる変数を調整後、MetSは高いがん死亡率と有意に関連していなかった。MetSの構成要素別の検討では、血糖高値のみが有意にがん死亡率と関連していた。肥満がなく、構成要素すべてに異常がなかった人(Metabolically healthy normal weight)を対照とすると、肥満があり、構成要素の一つでも異常があった人(Metabolically unhealthy obese)では、がん死亡率が有意に増加していた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初計画していた解析はほぼ完了したが、メタボリック症候群、Metabolically unhealthy obeseとがん死亡率との関連についての解析は、現在論文執筆中で、刊行に至っていない。しかし、当初計画になかった、食事酸負荷とメタボリック症候群との関連、栄養素パターンと非アルコール性脂肪性肝疾患との関連についての報告ができたことは収穫であった。
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今後の研究の推進方策 |
当初計画していた解析はほぼ完了したが、まだ死因別死亡数が少なく、死因別死亡率、臓器別がん死亡率との関連は解析できなかった。これについては、今後追跡期間を延長することで可能になると考えられる。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究自体は、1件の論文発表を除いて概ね順調に進んだが、Covid-19感染症の世界的流行の影響を受け、学会発表や研究打ち合わせがすべてWeb開催となり、出張がすべてなくなったため次年度使用額が生じた。次年度も状況が劇的に改善するとは考えにくいため、謝金、論文掲載料、消耗品の購入に使用する予定である。
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