研究課題/領域番号 |
18K10086
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
有澤 孝吉 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 教授 (30203384)
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研究分担者 |
上村 浩一 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 准教授 (50346590)
釜野 桜子 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 講師 (00612574)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | メタボリック症候群 / 代謝的に不健康な肥満 / がん死亡率 / コホート研究 |
研究実績の概要 |
メタボリック症候群(MetS)と循環器疾患の罹患率・死亡率との関連は従来から報告されてきたが、がん死亡率についてはこれまでの結果は一致していない。 そこで本研究では、日本多施設共同コホート研究に参加し、MetSの診断のための情報がそろっていた35-69歳の男女28554人(男性14103人、女性14451人)について、MetSおよび代謝的に不健康な肥満(Metabolically unhealthy obesity、MUHO)とがん死亡率との関連について検討した。MetSの診断には、National Cholesterol Education Program Adult Treatment Panel III (NCEP-ATP III)および日本肥満学会(JASSO)の基準を用い、腹囲の代わりにBody Mass Index 25以上を使用した。また、肥満以外の代謝危険因子のうち、少なくとも一つの異常(高血圧、中性脂肪高値、HDL-コレステロール低値、高血糖)がある場合、MUHOと定義した。 平均6.9年の追跡期間に、192人のがん死亡が認められた。性、年齢、喫煙、飲酒、運動習慣などの交絡因子となりうる変数を調整した場合、NCEP-ATP III基準によるMetSはがん死亡とは関連していなかったが、JASSO基準によるMetSはがん死亡と有意に関連していた(ハザード比1.51、95%信頼区間1.04-2.21)。また、MUHOは高いがん死亡率と有意に関連しており(ハザード比1.76、95%信頼区間1.10-2.80)、異常を示す項目数が増加するほどハザード比は上昇した。個別の代謝危険因子のうちでは、高血糖のみががん死亡率と関連していた。 以上、JASSO基準によるMetS、およびMUHOはがん死亡率の上昇と関連していることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初計画していた解析は終了したが、メタボリック症候群、代謝的に不健康な肥満とがん死亡率についての論文は、現在修正原稿を投稿中であり、受理には至っていない。 食事酸負荷とメタボリック症候群、栄養素パターンと非アルコール性脂肪性肝疾患との関連については論文を発表することができた。 予算の消化については、Covid-19の流行により学会参加等の出張がすべてなくなり、論文掲載のための予算がまだ残っている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究で、日本肥満学会基準によるメタボリック症候群、Metabolically unhealthy obesity、および高血糖ががん死亡率上昇と関連していることを明らかにすることができた。論文は、3/1に修正原稿を投稿し、現在査読の結果を待っている状況である。 今後、追跡期間を延長し、部位別がん死亡率・がん罹患率との関連を検討していくことが必要である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、1件の論文発表を除き、概ね研究は順調に進んだ。しかし、Covid-19の流行により、学会発表がすべてWeb開催となり出張がなくなったため、次年度使用額が生じた。次年度の残額は、論文掲載料として使用する予定である。
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