研究課題/領域番号 |
18K10087
|
研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
斉藤 功 大分大学, 医学部, 教授 (90253781)
|
研究分担者 |
丸山 広達 愛媛大学, 農学研究科, 准教授 (20627096)
加藤 匡宏 愛媛大学, 教育学部, 准教授 (60325363)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 糖尿病 / 累積罹患率 / 疫学調査 |
研究実績の概要 |
わが国では糖尿病の有病率の増加が社会的な健康課題になっている。しかしながら糖尿病の発症率自体が増えているのかどうかといった罹患率指標についての情報はほとんどない。また,糖尿病型の診断を行う上でその指標が空腹時血糖値か,ヘモグロビンA1c(HbA1c)か,あるいは75g糖負荷試験(OGTT)かによって有病率が異なるように,罹患率も異なることが推察される。本研究では地域住民を対象に75gOGTTを継続的に実施しているフィールドにおいて疫学的に糖尿病罹患率を把握し,各指標に基づいた糖尿病罹患率の推移について検討することを目的とする。 愛媛県T市における地域住民を対象に平成21年度~平成24年度にかけて実施した2032人の集団を,その後5年間追跡し,5年間の糖尿病累積罹患率を算出した。糖尿病型の判定は,75gOGTTを用いた場合,空腹時血糖値を用いた場合,あるいはHbA1c値を用いた場合のそれぞれについて算出した。 結果,75gOGTTを用いた場合の5年間の糖尿病累積罹患率は,男性8.1%,女性4.8%であった。空腹時血糖値のみを用いた場合の糖尿病累積罹患率は,男性4.2%,女性3.0%であった。さらに,HbA1cを用いた場合は,男性3.8%,女性2.7%まで低下した。 指標により糖尿病の累積罹患率は大きく異なることが明らかになった。特に,HbA1cを用いた場合の罹患率は,75gOGTTによる罹患率の半数以下であった。罹患率を推計する場合に,用いる指標により大きく異なることは,将来的な糖尿病患者を推計する上で注意が必要である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通りに進んでいる。次年度の計画も予定通り実施可能であり,本研究はおおむね順調に進展していると判断できる。
|
今後の研究の推進方策 |
研究計画書に記載のとおり,平成31年度以降,第Ⅲ期の調査を計画・実施し(平成31年度から4年間の計画),5年ごとの糖尿病罹患率の比較を行い、両期間の罹患率の動向を明らかにする。 第Ⅲ期では,これまでと同様、身体計測(身長、体重、ウエスト周囲長)、体組成、血圧測定、尿検査、75gOGTTによる空腹時血糖、負荷後1時間値、2時間値血糖値、血清脂質(TC、LDL-C、HDL-C、中性脂肪)、肝機能(GOT、GPT、γGTP、ALP、アルブミン)、尿酸、クレアチニン、高感度CRPなど検査を実施する。これら生化学的検査は,検査にかかる精度管理を確保するため,これまでと同じ検査機関に委託する。また、既往歴、生活習慣(喫煙習慣、飲酒習慣、運動習慣、睡眠習慣)を把握するための自記式アンケート、加えて身体活動量(JALS-PAQ)、半定量的食物摂取頻度調査の調査を実施する。 平成31度以降も第Ⅱ期調査の受診者を追跡していく必要があり、異動や死亡を含めて悉皆的に追跡していくよていである。なお、本研究期間は平成32年度までであり,第Ⅲ期の調査は完了できない。しかしながら、平成32年度までの連続受診者は800人程度を見込んでおり、その時点までの罹患率の推計を行うことは可能と考えている。
|