研究実績の概要 |
本研究の目的は、乳幼児を持つ保護者に心肺蘇生法(CPR)の知識普及を図るために、市町村で実施できる効果的な手法を開発することである。具体的には、市町村が実施する乳児家庭全戸訪問事業において乳児宅を訪問する際にCPRのリーフレットを配布し、その後乳幼児健康診査(以下、健診)時に保護者のCPRに関する知識、意識を評価するものである。 2年目の2019年度は京都府内2自治体の協力を得て、9~11か月児健診対象児の保護者に子どものCPRに関する質問紙調査への回答を依頼した。調査期間は2019年7月から2020年2月であった。対象者476人のうち455人から調査票を回収した(回収率96%)。母親が働いていない場合、勤務している(常勤、パート・アルバイト、育休含む)場合と比較し、子どものCPRを知らない頻度は有意に高く(51%対34%, p<0.001)、出生順位など他の変数で調整後も有意な関連が観察された(調整オッズ比2.1, 95%信頼区間1.4~3.1)。 3年目の2020年度はリーフレット配布対象の保護者に対して知識普及の検証を行った。新型コロナウイルス感染症流行により実施協力自治体のうち1つでは乳幼児健診を休止したため、1自治体でのみ効果検証の質問紙調査を実施した。配布人数220のうち183人から回収した(回収率83%)。リーフレット配布前後でCPRに関する知識や意識に有意な差は観察されなかった。乳幼児健診休止のため予定した対象者数を得られなかったことが効果検証結果に影響を与えた可能性があると考えられる。
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