研究課題/領域番号 |
18K10091
|
研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
植田 育子 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 特任助教 (80571398)
|
研究分担者 |
香坂 俊 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (30528659)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 抗血栓薬 / ステント留置術 / 消化管出血 |
研究実績の概要 |
虚血性心疾患治療のために行われる冠動脈ステント留置術は、我が国で年間約22万件が行われている。その術後は、血栓症予防の目的で抗血小板剤2剤併用療法が行われているが、本療法により術後出血のリスクは高くなる可能性がある。特に、消化器診療の現場では本療法中の大腸憩室出血症例に遭遇する機会がしばしばあるが、その臨床像に関する詳細な報告はまだなされていない。 我々は2008年より、PCI施行患者を対象としPCI施行時の疾患背景、診断や成績、そして予後規定因子を前向きに捉えた登録システムの構築に取り組み、既に約19,000件を登録している。現在はPCI術後の急性冠症候群や急性心不全による入院、出血イベントによる入院ならびに生存に関する2年間の追跡調査を実施している。本計画は、我々が作成した既存のデータベースを発展的に活用し、日本人虚血性心疾患患者における1) 消化管出血イベントの発症頻度を出血部位ごとに明らかにし、2)消化管出血を発症するリスク因子について明確にすること、さらに3)大腸憩室出血の臨床的特徴の基本統計量を示すことである。 本計画が実現されれば、抗血栓療法中に発生する消化管出血の発症頻度や発症時期が明確になり、加えて消化管出血を発症する患者の特徴までも明確にすることが可能となる。そして日常診療における血液検査や内視鏡検査を施行する時期の目安が分かれば、適切なタイミングで検査が行われ、入院加療が必要となる大出血を未然に防ぐことが可能となるかもしれない。そして例え、出血が起きても入院ではなく外来で、外科的処置ではなく薬物療法で対応可能な小・中等度の出血で抑えられるという可能性も考え得る。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は、平成30年4月より開始予定であったが、申請計画通りには進められることができなかった。現在は、調査項目の選定、入力システムの構築を準備している段階である。
|
今後の研究の推進方策 |
平成31年度上半期は、調査項目の確定ならびに入力システムの完成を目指すと共に、入力を現場で担う臨床研究コーディネーターのトレーニングを実施する。 さらに、平成31年度下半期には、該当症例の登録を稼働させる。
|
次年度使用額が生じた理由 |
前年度に実施する計画であった入力システムの構築が遅れ、まだ完成していないためその支払いが翌年度になってしまった。
|