研究課題
単純糖質の過剰摂取は肥満・糖尿病・死亡リスク上昇につながると考えられている。単純糖質摂取量の規定因子には遺伝要因と環境要因があると考えられるが、単純糖質摂取における遺伝要因の果たす役割は大きいかもしれない。本研究では、約17,000人の疾病に罹患していない一般集団の大規模ゲノムデータを用いて、ゲノム網羅的関連解析を行い、単純糖質摂取量および甘味嗜好の遺伝要因を明らかにする。今年度は、評価項目である、食物摂取頻度調査票(FFQ)から推計した単純糖質摂取量の妥当性・再現性の分析結果を論文発表した。多目的コホート研究に参加した男女のうち、5年後調査で用いられたFFQに1年間隔で2回答え、さらに28日間の食事記録調査(DR)に参加した551人の男女を対象とし、単純糖質摂取量をFFQとDRの2つの食事調査方法によって、それぞれ算出した。さらに、単純糖質摂取量の客観的な指標である尿中の糖濃度(ショ糖と果糖の尿中濃度の合計)を用いて、妥当性を検証した。その結果、FFQから得た単純糖質摂取量と尿中の糖濃度の相関係数は、0.40で、FFQとDRから得た単純糖質摂取量の相関係数は、コホートIの男性で0.57、女性で0.41、コホートIIの男性で0.56、女性で0.34であった。さらに、1年間隔で2回行ったFFQからの摂取量の相関係数は、コホートIの男性で0.63、女性で0.55、コホートIIの男性で0.66、女性で0.63であった。以上より、FFQで得られた単純糖質摂取量の妥当性と再現性が確認できた。さらに、妥当性の確認された単純糖質摂取量に着目したゲノム網羅的関連解析に着手し、分析中である。
2: おおむね順調に進展している
今年度の計画は、、甘味嗜好・単純糖質摂取量に着目したゲノムワイド関連解析を実施することである。単純糖質摂取量の妥当性を確認したうえで、すでにゲノムワイド関連解析を実施しており、順調に進捗していると考えている。
前年度に引き続き、甘味嗜好・単純糖質摂取量に着目したゲノムワイド関連解析を実施する。その後、再現性の検討のための手続き・分析を行う。
次年度以降にインピュテーションやゲノム解析を行う必要が生じたため、次年度使用額が生じた。
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Nutrients
巻: 11 ページ: 554
doi: 10.3390/nu11030554