研究課題/領域番号 |
18K10098
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
西條 泰明 旭川医科大学, 医学部, 教授 (70360906)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 地域医療 / 逆紹介 / 地理情報システム(GIS) / プライマリケア医 |
研究実績の概要 |
1)逆紹介への患者側の意見についての質問票調査:大学病院からの逆紹介を阻害する要因を明らかにすることを目的とし、紹介状を持参して旭川医科大学病院を初診した1,191名に対し質問票を送付し、438名が解析対象となった。現在の通院先が紹介元・紹介元以外の医大病院以外の医療機関通院となる逆紹介の有無をアウトカム、説明変数として性別、年齢、紹介元医療機関の所在地、大学病院への入院、大学病院までの通院時間、受診科の数、主たる受診科、仕事の有無、学歴、運転、QOLを説明変数とした。223名(50.9%)が医大通院のまま(逆紹介なし)となっていた。逆紹介にならない(医大通院のまま)をアウトカムとする多変量解析では、50歳代(参照:70歳以上)のオッズ比(OR)= 2.07 (95%信頼区間:1.01-4.27)、入院した・予定のOR=3.85(2.43-6.11)、医大病院までの通院時間30分未満(参照:2時間以上)のOR=3.17(1.39 -7.23)、受診科の数3科目以上のOR=3.12(1.37-7.09)に有意な結果を得た。 2)地理情報システム(GIS)を用いたプライマリケア医分布格差と医療アウトカムへの影響:プライマリケアの人口当たりの数へのアクセスの良さが虚血性心疾患と脳卒中死亡率に関連するか明らかにすることを目的に、人口動態統計を利用した生態学的研究を行った。分析単位は2次医療圏で、人口当たりのプライマリケア施設と内科医数を説明変数として階層ベイズモデルによる解析を行った(救急病院、人口密度、出生率、第二次・第三次産業就業者数を調整)。虚血性心疾患死亡には、プライマリケア施設が有意に関連していたが、 (Relative risk = 0.986, 95% credible interval: 0.979 to 0.993)、脳卒中では関連を認めなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年から持ち越した「地理情報システム(GIS)を用いたプライマリケア医分布格差と医療アウトカムへの影響」の解析を行い、逆紹介への患者側の意見についての質問票調査は予定通り行うことができたが、前者はがんをアウトカムとする研究が行えず、後者の質的解析部分のみ行えなかった。
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今後の研究の推進方策 |
逆紹介への患者側の意見についての質問票調査の質的解析を行い、当初より予定してた地方勤務の意思、地域枠入学者の実体についての質問票調査を行い、研究全体のまとめを行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
進行の遅れにより、年度内の学会発表や論文投稿が行えず、また年度末は新型コロナ感染症のためアルバイトを雇っての解析が行えず、必要な解析ソフトの購入を行わなかった。次年度は、学会発表、論文投稿料、学生アルバイトの賃金、解析ソフトの購入に用いる予定である。
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