1)逆紹介への患者側の意見についての質問票調査:438名が解析対象となった。対象者の50.9%が大学外来を継続している(逆紹介なし)状況であった。受診初期からの逆紹介を考慮した患者対応と、重症度や複数疾患を考慮し、患者の診療への希望に対して配慮した逆紹介先への適切な連携・調整が重要であると考えられた。 2)地理情報システム(GIS)を用いたプライマリケア医分布格差と医療アウトカムへの影響:虚血性心疾患死亡には、プライマリケア施設が有意に関連していたが、脳卒中では関連を認めなかった。悪性新生物死亡にはプライマリケア医密度は有意な関連を認めなかった。 3)地方勤務の意思、地域枠入学者の実体についての質問票調査:医師の出身地が地方であること、入試形態が地域枠であること、地方勤務の義務がある奨学金受給をしていることが地方勤務の意思と関連するのか明らかにすることを目的とした。旭川医科大学卒業生の質問票調査により、出身地が都市部か地方か、入試形態が地域枠入試であるか否か、地方勤務の義務がある奨学金の受給をしていたか否か、地方勤務の意思があるか否かを把握した。旭川医科大学の卒業生調査と共同して行う形でアンケートの発送を行った。3710人に発送を行い、557人より回答を得た。多変量ロジスティック回帰にて地方勤務の意思ありとなるオッズ比(OR)を算出した。都市部勤務者では地域枠入試のOR=3.11と有意に大きく、地方勤務者では地域枠入試のOR=0.17と有意に小さかった.北海道出身者のみに限定した場合、地域枠入試、地方勤務義務のある奨学金はORが有意に大きかった。さらに北海道出身者の都市部勤務者では、地域枠入試の地方勤務の意思ありに対するORが有意に大きかった。地域枠入学者と地方勤務の義務がある奨学金は地方勤務の継続につながる可能性が考えられた。
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