研究課題/領域番号 |
18K10101
|
研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
関 奈緒 新潟大学, 医歯学系, 教授 (30270937)
|
研究分担者 |
小林 恵子 新潟大学, 医歯学系, 教授 (50300091)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | インフルエンザ / 非医薬的公衆衛生対策 / 学童 |
研究実績の概要 |
インフルエンザ予防はワクチン接種を基本とし,手洗い等の非医薬的公衆衛生対策(Non-pharmaceutic interventions,以下NPIs)が重要とされている。しかしNPIsは多種多様であり,有効性について十分な結論に至っていない。新型インフルエンザ発生が危惧される現在,質の高いエビデンスの蓄積による有効なNPIsの確立は喫緊の課題である。本研究はインフルエンザ発症登録システムにより流行状況を把握できる大規模離島の佐渡市をフィールドとし,伝播の中心的役割を担っている小児に焦点を当て,小児への予防行動介入の個人予防効果及び地域の流行拡大防止効果を検証することを目的とした。初年度はターゲットとする予防行動の選定に向け,個人予防行動の有効性について研究代表者の先行研究(学童におけるインフルエンザ予防行動実践状況とその効果.日本小児科学会雑誌 2016)以降の文献を中心にレビューを行った。その結果,手洗いは医療介護施設を含むメタアナリシスにより有効とした文献がある一方,地域住民を対象とした予防効果は結論付けられないとのレビューも認められた。またうがいは本邦独自の習慣のため先行研究が少なく,茶うがい効果を示したメタアナリシスはあるもののサンプルサイズの小ささなど課題も多かった。マスク着用はメタアナリシスでは効果は否定的であった。以上より,手洗い,うがいを予防行動介入のターゲット候補とし,具体的な介入方法についてより詳細な文献レビューを引き続き行うこととした。また我々が2005/06シーズンから島内医療機関との連携により構築・運営しているインフルエンザ発症登録システムの登録票等を本研究に備えてバージョンアップした。なおこのシステムは佐渡市内のインフルエンザ患者のほぼ全数把握が可能であり2018/19シーズンも発生マップの作成,Web公開を行っている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
関連機関の調整に時間を有したため,介入校の選定などがやや遅れている。
|
今後の研究の推進方策 |
2019年度は学校医等との連携を強化し,介入校を早期に選定するとともに,基盤整備を行う。また介入する予防行動のターゲット候補とした手洗い,うがいについて,より詳細な文献レビューを行い,具体的な介入方法を検討する。さらにこれまで蓄積している過去の複数シーズンの流行状況を小学校区別に解析し,予防行動介入以外に流行拡大に影響する要因を検討する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
関連機関との連絡調整に時間を有しており,研究計画の遂行がやや遅れているため。
|