研究課題/領域番号 |
18K10102
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
村木 功 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (70731561)
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研究分担者 |
澤田 典絵 国立研究開発法人国立がん研究センター, 社会と健康研究センター, 室長 (00446551)
山岸 良匡 筑波大学, 医学医療系, 教授 (20375504)
久保田 康彦 公益財団法人大阪府保健医療財団大阪がん循環器病予防センター(予防推進部・循環器病予防健診部・健康開発, その他部局等, その他 (60814580)
斉藤 功 大分大学, 医学部, 教授 (90253781)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 循環器疾患 / 診断 / レセプト / 妥当性研究 |
研究実績の概要 |
循環器疾患(脳卒中、心筋梗塞)発症との関連を疫学的に検討する場合、それらの発症把握が重要である。しかし、循環器疾患発症の把握には大きな労力と費用が必要である。そこで、循環器疾患発症を把握する手段として2011年4月時点において、病院では概ね電子化されている診療報酬請求明細書(以下、レセプト)の利用に注目した。循環器疾患発症に主に関連するのは医科入院レセプトとDPCレセプトである。2018年度は循環器疾患発症登録者において、レセプトへの傷病名記載状況を検討した。 茨城県内の一地区国保被保険者において、2012年4月~2014年12月に初めて発症登録された脳卒中58人(脳出血11人、脳梗塞42人、くも膜下出血5人)および虚血性心疾患24人(心筋梗塞10人、労作性狭心症7人、急性死9人)の発症月における医科入院・DPC レセプトを詳細に確認した。また、同期間において発症登録者と非発症登録者において、傷病名、診療行為、医薬品、特定器材の分布の違いについて集計を行った。これらの結果に、日本脳卒中学会発行の脳卒中治療ガイドライン2015および日本循環器学会発行の急性冠症候群ガイドライン2018年改訂版より脳卒中および心筋梗塞の標準的治療の流れを考慮して、心筋梗塞判定ロジックおよび脳卒中判定ロジックのプロトタイプを作成した。 対象地域が限られていることにより、判定ロジックプロトタイプの一般化可能性が低い可能性があることから、より多くの地域を対象とし、内的妥当性(感度、特異度、陽性的中率、一致率など)を検証し、不一致例における特徴を比較・検討を行っていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度の進捗目標として、循環器疾患判定アルゴリズムと発症登録の不一致例の比較まで実施する予定であったが、年度末に新型コロナウイルス流行の影響を受け、昨年度の進捗目標の達成の遅れを取り戻すことができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
虚血性心疾患および脳卒中を対象とした循環器疾患登録をCIRCS研究対象地域(秋田県井川町、大阪府八尾市M地区、茨城県筑西市K地区)およびJPHC-NEXT研究参加者において継続実施する。また、調整を終えた地域について国保レセプトデータの取得を行う。これらの循環器疾患登録データベースと国保レセプトデータの同一個人の照合を行い、それぞれの研究で統合データベースを構築する。 対象集団を拡大し、構築した循環器疾患診断アルゴリズムのそれぞれから診断された循環器疾患診断症例の疫学的基準に基づく循環器疾患登録症例に対する内的妥当性(感度、特異度、陽性的中率、一致率など)を検証し、不一致例における特徴を比較・検討する。妥当性の高い循環器疾患診断アルゴリズムを用いて、大阪府八尾市全域、茨城県筑西市全域、茨城県神栖市などにおける循環器疾患発症率を算出し、循環器疾患死亡率などとの比較により外的妥当性についても検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初想定していた研究計画からやや遅れが生じたことで、情報収集・整理業務への従事のための人員確保を一部で行わなかったため、主に人件費において次年度使用額が生じた。次年度、同業務への従事のための人員確保を行う人件費として、また、遅れを取り戻すため、筑波大学に保管されているデータを集中的に解析するための旅費として主に使用する計画である。
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