研究課題/領域番号 |
18K10103
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
神田 秀幸 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 教授 (80294370)
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研究分担者 |
高橋 謙造 帝京大学, 公私立大学の部局等, 教授 (00365628)
鈴木 雅子 十文字学園女子大学, 人間生活学部, 講師 (20760763)
津村 秀樹 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 助教 (70636836)
中村 幸志 北海道大学, 医学研究院, 准教授 (80422898)
菅谷 渚 横浜市立大学, 医学部, 助教 (90508425)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | インターネット依存 / 学校教職員 / 頸部負荷 / 勤労意欲 |
研究実績の概要 |
インターネット普及に伴い、インターネット依存による昼夜逆転やうつ状態などの精神的問題が世界中で報告されている。また、スマートフォンなどの使用による頭部前傾の影響によって、頸椎の早期摩耗や破損、変形に関与する可能性が示唆されている。さらに、近年新しく提案されてきた疾病概念に、頸性うつ状態がある。新しい時代の健康課題として、インターネット依存と抑うつ状態、頸部負荷の関係性の解明に際し、特に過労状況になりやすい学校教職員において、これらの関連を明らかにすることは予防医学上、重要な意味をもつ。 平成30年度は、全国調査に向けた予備調査を行った。隣接する2つの県をモデルとし、両県内で中学校・高校を全数に対し、所属する全教職員を対象に、インターネット使用状況と頸部障害および抑うつ状態の実態に関するプレテストを行い、インターネット依存や頸性うつ状態などの有病率を予備的に明らかにすることを目的とした。 調査票の回収状況は、モデル2県の中学校・高校総数241校に対し、119校より協力が得られた(学校回答率49.4%)。教職員個別の質問票回収状況は、対象者9990人に対し、回答3314人であった(回答率33.2%)。私用目的でのインターネット使用状況として、平日利用時間は30分未満が最多であったが、休日の利用時間は30分以上59分未満が最多となり、6時間以上の利用者が13.0%みられた。続いて、頸部痛に関連する項目として、自覚的な頸部痛の有訴率は32.6%であり、物の持ち上げ・読書・車運転への影響がある者は約15%程度にみられた。抑うつにつながる勤労意欲に関する項目では、仕事への活力や熱心さなどの項目において、およそ20%前後に自身の意欲を感じないことがあることが分かった。 本研究で、インターネット依存や頸性うつ状態などの有病率を予備的に明らかにできた。今後詳細な検討を加える予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の立案・企画は予定通りに対応できている。研究実施に向けて、研究班内で検討を重ねた上で、大学倫理審査委員会の承認を得た。 実施では、対象者数が約1万人の個別調査票の準備や3000人を越える回収質問票の整理をこなし、貴重なデータを得ることができた。入力は外部委託を活用しながら、実務作業の効率化を図った。集計・分析は、詳細な検討までには至らなかったが、おおむね予備調査としての役割を果たす結果を得た。 ほぼ当初の見込み通りの研究遂行ができている。
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今後の研究の推進方策 |
平成31年/令和元年度の計画は、中学教職員を対象とした全国調査を実施する予定である。予備調査結果を活用し、対象学校数は、中学校130校を対象として、地域ブロックを層化して、学校の無作為抽出を行う予定である。教員調査は、対象中学校に所属する教員(約7,000人)を対象として実施する方向で準備を進めている。 令和2年度の計画は、高校教職員を対象とした同様の全国調査を実施する予定である。調査は、中学調査同様、高校を無作為抽出し、CIUS質問票日本語版と頸性うつ状態に関するスクリーニングテスト、健康管理調査票を用いた調査を実施する(教員約9,000人)事を予定している。 また、これら調査を実施しつつ、研究成果が得られたら公表しながら、わが国のインターネット依存と頸部負荷、頸性うつ状態の実態や要因の解明のため、統計的手法により詳細な分析を行っていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた物品費、旅費が次年度へ持ち越しとなった。 次年度は全国調査を予定しており、大幅な支出が想定される。よって繰越金によって、その支出に充てる予定である。
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