研究課題/領域番号 |
18K10104
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
鹿嶋 小緒里 広島大学, 先進理工系科学研究科(国), 准教授 (30581699)
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研究分担者 |
頼藤 貴志 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (00452566)
鈴木 越治 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 研究准教授 (10627764)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 大気汚染 / 黄砂 / 越境型大気汚染 / 長期健康影響 / 短期健康影響 / 死亡 / 循環器系疾患 / 呼吸器系疾患 |
研究実績の概要 |
本年度は、①解析データセット作成、② 短期影響評価に関するデータ解析作業を実施した。まず、①解析データの作成では、前年度に厚生労働省へ入手申請したヘルスアウトカムデータが本年度に到着し、それら死亡個票と総務省より入手した救急搬送データを用いて解析に必要なヘルスアウトカムのデータセット作成を行った。加えて、曝露データである日本の時間別大気汚染濃度および越境型大気汚染濃度(主に黄砂)の曝露データセット作成を行った。次に、それら曝露データとヘルスアウトカムデータを結合し、短期影響評価のための時系列解析用のデータセットを作成し、おおむね解析データセット作成に関する作業は完了した。加えて、昨年度作成した日本全土の微小粒子状物質(PM2.5)の濃度予測モデル(Land Use regression model:LUR)に加えて、二酸化窒素(NO2)の日本全土の測定局濃度を収集し、そのデータを元に濃度予測モデル(NO2 LUR model)の作成を行った。加えて同日本全土モデルと、地域限定モデルの濃度予測精度について比較を行った。②の解析作業は、作成が完了したデータセットを用いて、まずは越境型大気汚染による短期健康影響評価を実施すべく解析作業を行っており、現在進行中である。曝露モデル作成に関しては、2020年8月に開催された2020年 第32回国際環境疫学学会(International Society for Environmental Epidemiology)総会議において、日本全土の二酸化窒素濃度予測モデル(NO2 LUR model)に関して発表を行い、アジアの越境型大気汚染による健康影響について、世界の研究者とオンラインで情報交換および議論を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
厚生労働省よりの死亡個票データの入手に新型コロナウイルスのアウトブレイクの影響もあり遅延が発生したため、昨年度到着予定であったデータの到着が本年度となった。そのため、一部データセット作成を本年度に持ち越したため、解析作業に遅れが生じており、研究機関の1年間の延長申請を行い承諾された。当初の予定よりスケジュール的には遅れが発生してはいるが、申請していたヘルスデータはすべて到着が完了し、曝露データとの結合も完了している。また、同ウイルスによる影響のため、国内会議打ち合わせおよび、海外の研究者との打ち合わせを予定していたが、それらはすべてキャンセルとなったため、一部遅延が発生している。一方で死亡個票のデータ到着待ちの期間を利用して、PM2.5だけではなく、NO2の曝露データの作成を進めることができ、国際学会で発表を行うことができた点は、当初の予定より、進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
まず2020年度から持ち越した、短期健康影響評価に関する解析作業を引き続き実施する。次に、長期健康影響評価に関する解析を引き続き実施する。また、本年度の解析によって得られた知見の一部は、2021年度国際環境疫学学会(アメリカ)で発表を行う予定である(新型コロナウイルスの影響で、WEB上での参加予定)。加えて、各解析で得られた知見は、国際誌へ論文として発表を予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
健康アウトカムデータの入手が予定より遅延したため、一部解析作業が2021年度へ持ち越した。これにより2020年度購入予定であった、解析のためのソフトとハードウェアの購入を、最新バージョンを解析時に利用するために、2021年度へ、その購入を持ち越した。また、新型コロナウイルス(COVID-2019)アウトブレイクのため、国内会議打ち合わせおよび、海外の研究者との打ち合わせをすべてキャンセルした。それら打ち合わせのための旅費の一部を2021年度に持ち越した。COVID-19の感染状況に応じて、打ち合わせはオンラインを組み合わせて実施する予定であり、状況に応じて旅費の一部をオンライン用器材の購入に充てる予定である。
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