研究課題/領域番号 |
18K10110
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
湯浅 資之 順天堂大学, 国際教養学部, 教授 (30463748)
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研究分担者 |
横川 博英 順天堂大学, 医学部, 先任准教授 (00328428)
白山 芳久 順天堂大学, 国際教養学部, 准教授 (30451769)
田村 好史 順天堂大学, 国際教養学部, 教授 (80420834)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ミャンマー / ヤンゴン / 2型糖尿病 / 食習慣 / 疾病管理 / 社会的支援 / 家族支援 |
研究実績の概要 |
ミャンマーにおける2型糖尿病と関係する食習慣の要因を症例対照研究により検討した。ヤンゴン在住25から74歳の、過去6か月以内に糖尿病と診断された150人(ケース群)と非糖尿病である地域住民150人(対照群)を比較した。その結果、ケース群では麺、魚、豆、漬物、乾燥食品、調味料、非乳製品の消費量が対照群に比べ有意に多く、野菜と果物摂取量は低かった。また、ケース群は対照群に比べ、家族と食事を摂る、朝食を抜く、外食をよく摂っていた。調整済オッズ比(aOR)を求めたところ、調味料摂取(aOR=11.23、95%CI 3.08-40.90)、1日あたり3回以上の野菜摂取(aOR=0.18、95%CI 0.05-0.67)および家族との食事(aOR=2.23、95%CI 1.051.05-32)が糖尿病と関連していた。以上から、調味料の頻繁なる使用と家族と一緒に食事を摂るミャンマーの特徴的な食文化が2型糖尿病に関連する危険因子であることが分かった。 次に、糖尿病患者は適切な疾病管理を継続することが難しいため、家族や友人からの社会的支援が重要であることから、ミャンマーにおける2型糖尿病患者の社会的支援の実態を明らかにする症例対照研究を実施した。ヤンゴン市内の糖尿病専門クリニックに来院した糖尿病患者(ケース群)とコミュニティの非糖尿病者(対照群)の社会的支援を、ENRICHD社会的支援調査票を用いて計測した。ケース群のうち70%以上が高い社会的支援を得ていた。特に、情報的および感情的社会的支援が高かった。重回帰分析では、社会的支援と有意な正の関連を示したのは、世帯月収入と婚姻歴(p<0.001)、家族サイズと家族と一緒に食事をする頻度(p<0.05)であった。以上から、認知された社会的支援は患者の世帯収入と配偶者の存在に強く影響を受けていることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ミャンマーにおける2型糖尿病の有病率が近隣のアジア諸国の中でも特に高かったことから、同国における糖尿病患者の運動習慣、食習慣および疾病管理における家族らの社会的支援について調査し、分析するという当初の予定はすべて終了した。
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今後の研究の推進方策 |
ミャンマーでの調査結果が出たので、今後はミャンマーと同じ文化背景を持つタイの実態を調査し、両国の結果を比較することで、ミャンマーの特性をさらに明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の流行とミャンマー国おける内戦の勃発により、当該国へ再調査に行く機会がなかったため旅費が残った。残金はタイでの調査にあて、ミャンマーとタイの比較を行う経費とする。
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