研究実績の概要 |
我が国では生活習慣の欧米化により小児肥満が年々増加している。成人においては肥満(obesity: OB)とインスリン抵抗性(insulin resistance: IR)が深く関与するが、児童ではIRが必ずしもOBと関連しないことが報告されている。脂肪肝(fatty liver: FL)は生活習慣病のリスク因子として注目を集めているが、中学生におけるFLの実態についての疫学データは少なく、FLとIRの関連について中学生を対象に検討した報告はない。 そのため、中学生におけるIRと脂肪肝指数(fatty liver index: FLI)の関係を検討する。2019年における、対象は新潟県津南町の中学3年生55名(男32名,女23名)である.健診時に身長,体重,腹囲の測定と採血を施行した.HOMA-Rが2.5以上をIRとし,FLIが60以上をFLとした.男児と女児にてMann-Whitney検定とx2検定を用いて比較し,HOMA-RとFLIの相関をSpearmanの順位係数を用いて検討した. HOMA-Rは2.0(1.4-3.1),FLI 2.7(1.8-6.3),BMI 20.4(19.0-21.9) kg/m2,腹囲69.4(65.4-76.1)cmであった.HOMA-Rは男児と女児で有意差を認めなかったが,FLIは女児の方が高値な傾向であった(p=0.254,p=0.091).IRは男児と女児で有意差を認めなかったが,FLは女児で有意に多かった(p=0.238,p=0.036).HOMA-RとFLIは男児で有意でなかったが,女児においては有意な相関を認めた(r=-0.012,p=0.952,r=0.705,P<0.001). HOMA-RとFLIは男児で相関を認めなかったが,女児は有意に相関していた.IRは女児の脂肪肝を予測する指標となる可能性が示唆された.
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