研究課題/領域番号 |
18K10112
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
小島原 典子 東京女子医科大学, 医学部, 准教授 (50226867)
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研究分担者 |
山口 さち子 独立行政法人労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所, 人間工学研究グループ, 上席研究員 (30548954)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | brain tumor / ionizing radiation / diagnostic X-ray / head CT / adolescence |
研究実績の概要 |
Mobi-Kids Studyのインタビュー調査で集められた医療被曝に関する回答を活用して我が国のCTなどからのばく露と青少年の脳腫瘍との関連を検討した。2019年10月から2020年2月までWHOのがん研究機関、IARC(International Agency for Research on Cancer, リヨン、フランス)のSection of Environment and Radiationに所属する、EPI-CTの経験のある共同研究者とともに解析を行った。Mobi-Kids国際症例対照研究は青少年における高周波電磁界(携帯電話端末の使用)と脳腫瘍のリスクを検討した研究だが、2011年から2015年に症例登録された13か国の医療被曝に関する解析が2020年に公開された。研究代表者の小島原はこの国際研究の医療被曝のサブ解析にもかかわり、また、共同研究者のEPICの経験からの助言を受け、我が国の青少年における医療機器からのばく露推定について、leading timeとして診断前2年間のばく露を除いて1)頭部CTのみのの回数、2)不明を含めた頭頚部CTの回数、3)頭頚部の単純X線ばく露を2)に加えたばく露量(mGy)の文献的推定の3つのばく露について脳腫瘍とgliomaのリスクの解析を行うこととなった。MRI検査の電磁界ばく露については、撮像条件(使用装置、シークエンスなど)の詳細がないため、医療被曝として統合したアルゴリズムは適切でないと判断し、MRIと脳腫瘍の関連については令和2年度に検討することとなった。 脳腫瘍群における頭部CTスキャンの検査回数は 1.8±2.9 回、頭頚部2.2±0.7回で対照群と比較して有意差はなかった。単純X線を含めたすべての頭頚部への医療被曝は、全脳腫瘍群 (n = 36)32.2±13.0 mGy、glioma群(n = 13)22.2±5.5 mGyでいずれも対照群より高かったが有意差は認めなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
5か月IARCで研究できたことで順調に進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
脳腫瘍と頭部CT、頭頚部CT,単純X線を含めた頭頚部X線、MRAIの4つをばく露指標として、全脳腫瘍、gliomaに対するリスクについて条件付きロジスティック解析を行う予定である。可能であれば、海外の共同研究者を招いてEPICTの結果と合わせてシンポジウムを開催して、情報公開を推進したいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
IARCから研究者を招聘ための費用と、研究代表者がIARCで研究するための費用の大部分が、ほかの費用で賄われたため。
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