研究課題/領域番号 |
18K10115
|
研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
久保田 芳美 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (60403317)
|
研究分担者 |
丸茂 幹雄 兵庫医科大学, 医学部, 准教授 (40333950)
若林 一郎 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (70220829)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 動脈硬化 / 血液凝固 / 飲酒 |
研究実績の概要 |
篠山研究では、513名(男性231名、女性282名)の市民より研究調査への協力を得て、血液凝固・線溶を反映する指標を測定した。同時に、血栓のできやすさに関連する可能性がある飲酒や食事状況などについて聴き取り調査を行った。さらに調査協力者のうち298名(男性134名、女性164名)において、CAVI(キャビ:心臓足首血管指数:血管年齢の検査)を測定した。同時に、過去に研究調査のCAVI測定を受けたことがある、65歳以上の協力者82名(男性35名、女性47名)に、追跡のCAVI検査を実施した。神戸研究については871名(男性257名、女性614名)に4回目の追跡検査を実施した。現在飲酒している人の割合は、男性71%、女性40%であった。適正飲酒量は日本酒に換算して1日あたり男性1合未満、女性0.5合未満とされている。飲酒量が適正飲酒の範囲の人は、現在飲酒している人のうち男性48%、女性71%であった。一方で1日あたり2合以上飲酒している多量飲酒の人が、男性20%、女性5%でみとめられた。現在飲酒している人のうち、「ふだんよりたくさん飲む日が週1回以上ある」と答えた人の割合は、男性19%、女性7%であった。飲酒量については、男女とも「ふだんよりたくさん飲む日がある」と答えた人の方が、「ない」と答えた人よりも、「1日あたりに飲む量」が多い傾向にあった。血液の凝固系や線溶系のマーカーが極端に高い場合、血栓ができやすい状態と考えられる。抗凝固薬の投与を受けていない人において、血栓リスクがやや高いと判断された人の割合は、男性9%、女性11%であった。CAVIの測定結果から動脈硬化の疑いありと判定された人は、64歳以下では男性16%、女性9%であった。65歳以上を対象とした追跡の検査においては、男性51%、女性23%であった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
成果報告については、筆頭著者論文の構成を練り直しするなどして投稿が遅れたが、この年度明けに投稿できる状況となった。また、共著論文3報が掲載された。研究調査への継続協力者の他、新規の研究協力者の協力を得て、研究登録者は2019年度末で2,186名となった。神戸研究は新規の研究協力者の募集はせず追跡調査のみを行っているが、4回目の追跡来所検査でも77%と追跡率は高い。これら研究のデータ収集については順調に進展しており、概ね順調に進展していると考えられる。
|
今後の研究の推進方策 |
次年度は、血液検査や尿検査などの現地での生理学検査は実施せず、追跡調査アンケートおよび保存検体の測定を実施する。アンケートは、2012年から2016年度の間に調査協力をいただいた後、2017年から2019年度の間に調査事業のアンケートを実施していない人を対象とする。アンケートは、市センター健診の会場で実施するか、或いは郵送調査を予定している。追跡調査アンケートの方法については慎重に検討している。わが国では本年度末より感染症拡大がみとめられ、拡大防止対策が必要な状態が長期間続くと予測されている。研究機関として市民の感染症予防と慢性疾患予防の両立を支援できるよう、行政との連携と医学情報の収集に、より一層気を配りながら進めたい。
|
次年度使用額が生じた理由 |
追跡アンケートは、当初郵送のみを計画していたが、回答の精度およびアンケートの周知のために、現地調査を組み合わせることにした。そのために人件費の確保が必要であった。人件費の確保のために、保存検体の測定項目を一部保留した。追跡調査アンケートの実施に関わる人件費や印刷諸経費、郵送料および保存検体の測定に充当する。
|