篠山研究への協力を得た住民集団のうち、推定糸球体濾過能および尿中アルブミンにより腎障害がないと判断された群(non-chronic kidney disease: non-CKD)において、飲酒習慣その他循環器疾患危険因子と、細小動脈硬化指標および尿中アルブミンとの関連を、男女別に検討し比較した。その結果、男性において飲酒習慣が日本酒換算2合以上を1日あたりに飲む者の割合と尿中アルブミン値との間に正の相関がみとめられた。さらに尿中アルブミン軽度高値のオッズ比を検討したところ、単変量解析では1.90(1.05-3.46)であったが、多変量解析により有意な関連はみとめられなくなった。細小動脈硬化指標との関連はみとめられなかった。女性においては、飲酒習慣と細小動脈硬化指標および尿中アルブミンとの関連はみとめられなかった。その他循環器疾患危険因子では、男性は高血圧と糖尿病が尿中アルブミン軽度高値と関連し、女性では糖尿病と現在喫煙が細小動脈硬化指標と関連し、高血圧は尿中アルブミン軽度高値と関連した。non-CKDの住民集団において、循環器疾患危険因子と細小動脈硬化指標および尿中アルブミンとの関連は、性別により異なる傾向を示した。この結果は、糖尿病患者を対象とした先行研究において、性別の女性が尿中アルブミン正常域の腎障害と関連したことと一致した。これらの成果は、英文医学雑誌BMC Nephrologyに掲載された。
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